永山絢斗逮捕の「東リベ2」公開へ...延期「緊急取調室」と何が違う? 識者が指摘する2つの要因

   大麻取締法違反(所持)の疑いで2023年6月16日に逮捕された俳優の永山絢斗容疑者(34)が出演する映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-」が当初の予定通り、30日に公開されると同作の公式サイトで発表された。再撮影や再編集はしないとしている。

   発表を受け、ツイッターには公開を喜ぶ声が続々と上がっているが、あわせて、「緊急取調室は公開延期なのに、東京リベンジャーズは普通に公開するの?」と映画「緊急取調室 THE FINAL」の名前を絡めた声も上がっている。

   「緊急取調室 THE FINAL」は当初、16日に公開される予定だったが、1日に公開延期が発表された。出演者の市川猿之助さん(47)が5月18日、自宅で意識がもうろうとした状態で発見され、警察から任意で事情を聞かれる事態となっていた。両作が、かたや公開延期、かたや予定通りの公開となったのはなぜか。J-CASTニュースはメディアエンターテインメントを研究する同志社女子大学の影山貴彦教授に見解を聞いた。

  • 写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
    写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
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「方や先例があると言える事案、方や先が全く読めない事案」

   取材に対し、影山氏は両作で判断が割れた要因を大きく2つ指摘する。1つ目は、出演俳優が起こしたことが、方や先例があると言える事案であること、方や先が全く読めない事案であることだとする。

「市川猿之助さんの一件はご両親が亡くなったということに加え、真相が全くもって未解明の状態であり、今後の展開が予断を許さない状況です。不確定な要素があまりにも多い状況での公開は、やはり難しいと言えます。一方、『東京リベンジャーズ2』ですが、決して『軽い』というわけではありませんが、薬物事件であるため、今後の展開が先例を参考にある程度読めてしまう点が、公開への決断をしやすかった可能性はあります」

   2つ目に、影山氏はあくまで私見としながら、制作会社の個性も公開の決定に影響した可能性を指摘する。

「『緊急取調室 THE FINAL』は東宝ですが、同社は関西地区の雄、阪急とともに企業グループを構成していることもあってとにかくクリーンさ、清潔さを重んじます。これに対し、『東京リベンジャーズ2』はKADOKAWA。同社は東宝に比べると身動きが取りやすいこともあり、公開に際し、『敢えて勝負する』態度を取れるという事情はあるかもしれません。個人的には2022年9月の同社会長の逮捕が公開という判断へのブレーキとなるかなと思いましたが、それはなかったということでしょう」

   影山氏は、予定通りの公開が決まったことを評価しつつ、その発表方法についても見解を示した。

「私は常々、『作品に罪はない』と申しておりますゆえ、今回の『東京リベンジャーズ2』の公開の判断は大変喜ばしいと感じております。ただ、1点欲を言うなら、予定通り公開することを決めたことを説明する声明の中に、永山絢斗容疑者の容疑が大麻所持だったことを表す箇所がなかったので、『作品に罪はない』とはいえ、そこまで書いていただければ、なお良かったと思います」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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