国民民主党の連立入り説がくすぶる中、玉木雄一郎代表が2023年9月10日朝放送の「日曜報道THEPRIME」(フジテレビ系)で「仮に連立になったとして、どこの大臣に就きたいか」を問われ、「総理大臣ですねぇ」と即答してスタジオが笑いに包まれる一幕があった。玉木氏は09年に民主党(当時)から出馬して初当選以来、民進党→希望の党→旧・国民民主党→新・国民民主党と、周辺を取り巻く政治状況は大きく変化してきたが、あらゆる場面で首相への意欲を口にしてきた。ただ、国民民主の所属国会議員数は21人に過ぎない。発言の本気度をめぐり、臆測はくすぶり続けることになりそうだ。「なるほどー、もういきなりですか。財務大臣から、とかじゃなくて...」番組では、松山俊行キャスターが「玉木さん、この連立というのはもう『ない』ということになったんですか」と水を向けたのに対して、玉木氏は「我々から何か言ったことは1度もなくて、新聞見たら書いてあったので、『そうなのかなぁ』と思って読んでましたけど...」と否定。国民民主が23年2月の党大会で決めた活動方針には、「政策本位で協力できる政党とは与野党を問わず連携」することをうたっていることに触れて「与党であっても協力するところはする」「とにかくこの混迷の時代に、政策を前に進めるためには協力するところは協力していくということだ」とも述べた。こういったやり取りを踏まえて、橋下徹氏が「仮に連立になったとして、玉木さんだったらどこの大臣に就きたいんですか?」と質問。玉木氏は間髪入れずに「総理大臣ですねぇ」と答え、出演していた自民党の佐藤正久参院議員を筆頭にスタジオでは爆笑が起きた。橋下氏が「なるほどー、もういきなりですか。財務大臣から、とかじゃなくて...」と驚くと、玉木氏は苦笑いしながら「この話は...もうね、他の話にしましょう」と話題を打ち切った。佐藤氏は放送後にX(旧ツイッター)で、爆笑の意味を「その場にいたが『玉木首相』なら、『連立』ではなく『政権交代』になってしまうと思い、思わず笑ってしまった。失礼しました」と説明した。「万年、野党をやるつもりはないので、いつかは新しい連立政権の中核になりたい」玉木氏は香川県出身の唯一の首相、大平正芳(1910~80)の遠戚で、大平の「後継」を自任。SNSにもたびたび、首相を意識する文脈で「大平」の文字が登場する。例えば16年9月に行われた民進党の代表選に出馬した際には、高松市内で行われた街頭演説に先立って大平家の墓地を参拝。当時の心境をフェイスブックに「『これは総理大臣になるポストを争う選挙だ。お前に、それだけの覚悟があるのか!』そう、大平元総理から厳しく問われた想いが致しました」とつづっている。直後の街頭演説では、「自民党に代わるもうひとつの信頼できる政治のかたまりをつくらなければならない。それが私が今回の出馬を決意した最大の理由だ」などと訴えた。民主党に維新の党が合流して民進党が発足して半年も経っていない時期の出来事だ。17年の「希望の党」騒動で政治状況は大きく変わるが、当時の玉木氏は「大きなかたまり」による政権交代で首相を目指していたわけだ。18年1月に希望の党代表として日本外国特派員協会で臨んだ会見でも、「2020年の東京五輪後、実際に自民党に取って代わるチャンス(viableopportunitytoreplacetheLDP)がある唯一の責任ある野党だと信じている」と、同趣旨の発言をしている。最近は、仮に連立入りした場合は「中核になりたい」とも述べている。これが「総理大臣」発言の伏線だとみることもできそうだ。玉木氏は9月4日のNHKのインタビューで、自公との連立については慎重な発言を繰り返す一方で、今後の党のあり方については「万年、野党をやるつもりはないので、いつかは新しい連立政権の中核になりたい。そのために今は自分たちの力を少しでも地道に大きくしていくことがベストのシナリオだ」と述べている。(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
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