民放AMが山口&佐賀から消える 総務省の実証実験、早ければ来年2月から

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   民放ラジオ局の厳しい経営環境を背景に、AM放送をやめてFM放送に移行する流れが具体化してきた。

   総務省は2023年8月、AMを一部地域で一時的に停止して影響を見極める「実証実験」に全国の13社が参加することを発表。13社のうち多くは、AMの親局を止めずに中継局を休止するが、山口と佐賀の2県の民放は全域でAMを止める計画だ。早ければ24年2月にAMを止める局が出る見通しだ。

  • AMを停波する「実証実験」が近づいてきた(写真はイメージ)
    AMを停波する「実証実験」が近づいてきた(写真はイメージ)
  • AMを停波する「実証実験」が近づいてきた(写真はイメージ)

FM整備などで「運用休止前の世帯・エリアカバー率が最大限維持できる」ことが前提

   放送局の免許は5年ごとに更新される仕組みで、次回の更新は23年11月。日本民間放送連盟(民放連)は23年までに、AM停波の「実証実験」のための制度を整え、遅くとも28年までに「AM放送事業者の経営判断によって」AMからFMへの一本化や、AMとFMの併用を全国的に可能にするように求めていた。これを受ける形で、総務省は実証実験の具体的な手順をまとめてきた。

   民放AMラジオ全47社でつくる「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」は21年6月、47社のうち44社が「2028年秋までにFM局となること」を目指すと発表している。この時点で21社が実証実験への参加を表明していたが、23年8月の発表では、参加表明は13社にとどまっている。

   総務省が23年3月に公表した「AM局の運用休止に係る特例措置に関する基本方針」によると、AM休止は、FMの送信設備の整備やケーブルテレビ経由の再送信で「運用休止前の世帯・エリアカバー率が最大限維持できる」ことが前提。世帯・エリアカバー率の維持がネックになっている可能性もある。

   電波法では、「正当な理由がないのに、無線局の運用を引き続き六月以上休止したとき」に総務相が免許を取り消せる規定があるが、実証実験で電波を止める際はこの対象からは外す。これが前出の「AM局の運用休止に係る特例措置」の意味だ。運用休止が可能なのは「2024年2月1日以降」だ。

長崎でAMを続けて佐賀だけ止める理由

   13社は、IBC岩手放送(盛岡市)、茨城放送(水戸市)、新潟放送(BSN、新潟市)、北陸放送(MRO、金沢市)、福井放送(FBC、福井市)、東海ラジオ放送(名古屋市)、山口放送(KRY、周南市)、南海放送(RNB、松山市)、RKB毎日放送(福岡市)、九州朝日放送(KBC、同)、長崎放送(NBC、長崎市)、熊本放送(RKK、熊本市)、南日本放送(MBC、鹿児島市)。

   実証実験への取り組み方も様々で、大きく(1)AMの親局を残し、複数ある中継局の一部を休止 (2) AM親局のみを残し、中継局は全局休止(3)AMは親局含めて全局を休止、の3つに大別される。(1)が最も多く8社で、(2)が次に多い茨城放送、MRO、FBC、東海ラジオの4社。唯一(3)だったのがKRYだ。

   (1)で特殊なのが、長崎と佐賀の2県で送信設備を持っているNBCだ。長崎県内で休止するAMの送信設備はないが、佐賀県内の全4局(佐賀、唐津、伊万里、有田)を休止する。NBCでは、佐賀県内ではFMのカバー率が95.9%に達したのに対して、長崎県ではその水準に及ばないとして、現時点では長崎の実証実験参加を見送っていると説明している。KRYは15日、J-CASTニュースの取材に、総務省と調整の上で24年2月から休止したい考えだが、「全局を一度に止めることはしない」とも説明している。親局と中継局5局を、タイミングをずらしながら順次休止していく考えだ。佐賀のNBCは24年2月1日の休止を予定している。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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