斉藤国交相「国会での質疑よりよっぽど鋭い」 中学生との「鉄道談義」白熱、外資規制も議題に

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   鉄道マニアとして知られる斉藤鉄夫国土交通相と、鉄道をテーマにディベート大会で上位入賞した中学生が2023年11月7日、異例の鉄道談義を展開した。

   23年8月に行われた日本語の競技ディベートの全国大会「全国中学・高校ディベート選手権」(ディベート甲子園)では、中学生は「日本は鉄道の運賃を自由化すべきである。是か非か」をテーマに議論を展開。優勝した東海中学校(愛知)と準優勝した開成中学校(東京)の選手計8人が、東京・霞が関の国土交通省の大臣室でローカル線のあり方について熱心に質問した。斉藤氏は「国会での質疑よりよっぽど鋭い」と感心する一方で、最もテンションが上がっていたのは、最後に出た「好きな路線」に関する話題。列車名が書かれた「サボ」と呼ばれる標識を手に、路線の思い出を熱心に説明していた。

  • 鉄道マニアとして知られる斉藤鉄夫国土交通相が、中学生と「鉄道談義」を展開した
    鉄道マニアとして知られる斉藤鉄夫国土交通相が、中学生と「鉄道談義」を展開した
  • 「ちどり」の文字が入ったサボを手に説明する斉藤鉄夫国土交通相
    「ちどり」の文字が入ったサボを手に説明する斉藤鉄夫国土交通相
  • 中学生は鉄道の話題で鋭い質問
    中学生は鉄道の話題で鋭い質問
  • 大臣室には鉄道グッズがたくさん
    大臣室には鉄道グッズがたくさん
  • 中学生と記念撮影する斉藤鉄夫国土交通相
    中学生と記念撮影する斉藤鉄夫国土交通相
  • 中学生に大臣室からの景色を説明する斉藤鉄夫国土交通相
    中学生に大臣室からの景色を説明する斉藤鉄夫国土交通相
  • 鉄道マニアとして知られる斉藤鉄夫国土交通相が、中学生と「鉄道談義」を展開した
  • 「ちどり」の文字が入ったサボを手に説明する斉藤鉄夫国土交通相
  • 中学生は鉄道の話題で鋭い質問
  • 大臣室には鉄道グッズがたくさん
  • 中学生と記念撮影する斉藤鉄夫国土交通相
  • 中学生に大臣室からの景色を説明する斉藤鉄夫国土交通相

外資規制めぐる質問に「なるほどね~。新しい問題提起ですね」

   中学生が取り組んだ論題(テーマ)は、ローカル線の存廃と密接に関連しており、選手からは、鉄道会社に対する政府の関与のあり方に関する質問も出た。

   斉藤氏は鉄道事業者と沿線自治体の議論を加速させる「再構築協議会」制度が始まったことや、豪雨で不通になっていた只見線は線路管理と列車運行の事業者を分ける「上下分離」方式で復旧が実現したことを紹介。両校の選手は興味深そうに聞き入っていた。

   実際のディベート試合で出てきた論点のひとつが、鉄道会社としては存続可能でも、株主から不採算路線の廃止を求められるケースだ。例えば13年には、西武ホールディングス(HD)筆頭株主だった米投資会社サーベラス・グループが、西武鉄道の「不採算路線」の廃止を求めたことがある。さらに、上場している鉄道会社でも、鉄道が「本業」ではなくなりつつある場合もある。一例がJR九州で、23年3月期の連結決算では、売上高にあたる営業収益は3832億円。そのうち鉄道を含む「運輸サービス」は1383億円で、全体の36%に過ぎない。

   こういったことを背景に開成中の選手が

「鉄道は別に投資家から見たら魅力的ではない。そうなってきたときに、外資を規制する、みたいな考えは、大臣はありますか」

と質問すると、斉藤氏は

「なるほどね~。新しい問題提起ですね。民間企業なんだけども、その地域にとってはなくてはならない、良いサービスを提供している会社、公的な仕事をしている会社。そこに外国資本がどれだけ入ることを許すか、というのは重要な問題」

と感心した様子で応じていた。

   外国為替および外国貿易法(外為法)では、鉄道を含む「インフラ関連業種」に対して外国投資家が出資する場合(上場企業の株式1%以上、非上場企業の株式1株以上)、事前の届け出を義務づけている。届け出には審査があり、認められない場合もある。こういった点を事務方が補足すると、一同納得した様子だった。

「ちどり」のサボを手に芸備線の思い出を熱弁

   最後に出た質問が「好きな路線」に関するもの。斉藤氏が広島県と岡山県を走る芸備線を挙げると、選手は「あ~!」と大盛り上がりだった。芸備線の一部区間でも存廃をめぐる議論が起きており、JR西日本が全国で初めて前出の「再構築協議会」の設置を要請した区間だからだ。斉藤氏は島根県出身で、中学校と高校は広島市内の学校に通っていた。帰省する際に利用したのが芸備線だ。「ちどり」の文字が入った古びたサボ(列車行先札)をデスクから持参して、路線の思い出を熱心に説明していた。

「その時走っていた『ちどり』という準急だったんです。これはお金(運賃以外の追加料金が)かかるので、高校生の時は乗れなくて、私は各駅停車。これは昔、広島と松江を結ぶ...。あの頃は高速道路がありませんから、陰陽、山陰と山陽を結ぶのは鉄道。芸備線から入って、備後落合というところで木次(きすき)線に入って、木次線で宍道っていうところまで行くんだけど、途中には出雲坂根あたりにスイッチバックがあって...。そういう唯一の陰陽連絡準急、これに乗るのが私は夢だったんですね」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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