2024年 4月 30日 (火)

毎月スマホ料金支払い「格安スマホ」だけ1割アップ 調査担当者がむしろ「評価」した理由

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   若い世代に支持者が多い「格安スマホ」だが、毎月のスマホ支払い料金をみると、利用者の月額料金がグンと上昇していることが、モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2023年11月14日に発表した「2023年9月通信サービスの料金と容量に関する実態調査」でわかった。

   しかも、大手キャリアやサブブランドなどの利用料金は軒並み下がっているのに、格安スマホだけが上がっているという。いったいどういうわけか。調査担当者に聞くと――。

  • スマホ料金いくら使っている?
    スマホ料金いくら使っている?
  • (図表1)通信サービス別平均月額料金(MMD研究所作成)
    (図表1)通信サービス別平均月額料金(MMD研究所作成)
  • (図表2)通信サービス別平均月額料金の推移(MMD研究所作成)
    (図表2)通信サービス別平均月額料金の推移(MMD研究所作成)
  • (図表3)通信サービス別データ容量プラン(MMD研究所作成)
    (図表3)通信サービス別データ容量プラン(MMD研究所作成)
  • (図表4)直近で利用したデータ容量(MMD研究所作成)
    (図表4)直近で利用したデータ容量(MMD研究所作成)
  • スマホ料金いくら使っている?
  • (図表1)通信サービス別平均月額料金(MMD研究所作成)
  • (図表2)通信サービス別平均月額料金の推移(MMD研究所作成)
  • (図表3)通信サービス別データ容量プラン(MMD研究所作成)
  • (図表4)直近で利用したデータ容量(MMD研究所作成)

格安スマホの利用料金だけ369円増加

   MMD研究所の調査は、毎年1回行っている定点観測調査。今回(2023年9月22日~27日)はスマホを利用している18歳~69歳の男女3万6331人が対象。対象に選んだのは、「Rakuten最強プラン」を含む「大手4キャリア」と、「Rakuten最強プラン」を除く「大手3キャリア」、そして「オンライン専用プラン」、「キャリアサブブランド」、さらに「MVNO」(格安スマホ)の5つの通信サービスだ。

   ちなみに、MMD研究所では、キャリアサブブランドは「UQmobile(au)」と「Y!mobile(SoftBank)」、オンライン専用プランは「ahamo(docomo)」「povo(au)」「LINEMO(SoftBank)」を指している。サブブランドには店舗があり、オンライン専用プランは手続きやサポートを含め、基本的にはオンラインで完結するプランとなっているからだ。ただし、「ahamo」のみ有料で、ドコモショップで契約のサポートを受けることができる。

   通信会社に支払っている平均月額料金(通信+通話+端末)をみると、「大手4キャリア」が8888円、「Rakuten最強プラン」を除いた「大手3キャリア」が9498円、「オンライン専用プラン」が6500円、「キャリアサブブランド」が5063円、「格安スマホ」が4258円となった【図表1】。

   2020年10月調査からの推移を見ると、特に前回(2022年9月)に比べ、大手4キャリアユーザーが25円、大手3キャリアが27円、キャリアサブブランドが9円減少と、軒並み下がっているのに、格安スマホだけが369円も増加する結果となった【図表2】。

   また、現在契約している通信サービスの月間データ容量プランを聞くと、「小容量(7GB以下)」が最も多いのが「格安スマホ」(70.8%)で、次いでキャリアサブブランド(61.1%)、大手3キャリア(46.7%)、大手4キャリア(41.2%)となった。唯一、オンライン専用プランだけが、「中容量(8GB~30GB)」(67.0%)のユーザーを突出して多い結果となった【図表3】。

   実際に、データ容量プラン通りに使っているのだろうか。直近で利用したデータ容量を聞くと、大手4キャリアと大手3キャリアでは、概ね、データ容量プラン以内に収まっているが、オンライン専用プランとキャリアサブブランド、そして格安プランでは、ややデータ容量をオーバーする傾向が見られた【図表4】。

大手キャリアへの挑戦は今後も続く

   今回の調査結果をどう見たらよいのか。J-CASTニュースBiz編集部は調査を行なったMMD研究所の担当者の話を聞いた。

――今回の調査で不思議なのは、格安スマホ(MVNO)の平均月額料金が、ほかがみんな下がっているのに、昨年調査より一挙に369円(9.5%)も増加していることです。いったい、格安スマホ業界に何があったのでしょうか。

調査担当者 平均月額料金は通信・通話・端末をあわせて算出したものになっていますが、格安スマホの平均料金が上昇に関しては、むしろ格安スマホ各社の頑張りの結果だとみております。

大手キャリアが低料金のサブブランドを出し始めて競争が激しくなったので、格安スマホ各社は、逆に大手キャリアの領域であった「10GB」や「20GB」の中容量帯に進出しています。そして、中容量のプランを用意してユーザーを獲得しているため、結果的に平均料金が高くなったのです。

たとえば、直近でもSONYグループが運営するnuroモバイルがバリュープラスのデータ容量増強を発表しました。もともと、ライフスタイルや毎月使うデータ容量に合わせてプランを選べるのが魅力でしたが、データ容量がさらにアップしました。

日本通信でも「合理的30GBプラン」の開始を発表しています。これは、月額2178円(税込み)で30GBのデータ通信と国内通話5分かけ放題を利用できるものですが、厳密には新プランではなく、現在提供している「合理的20GBプラン」を料金据え置きのままデータ容量を10GB増量して30GBとするものです。

こうした傾向は今後も増えると予想されます。格安スマホだけが高くなったのは、大手キャリアの領域に果敢に攻め込んでいる結果と言えるでしょう。

スマホ料金デフレは終わり、インフレが始まる?

――なるほど。ところで、契約データ容量の調査結果をどう読み解けばいのか、よくわかりません。小容量(7GB以下)が、キャリアサブブランド(約61%)と格安スマホ(約70%)に非常に多く、大手4キャリア(約41%)も比較的多い。

一方、オンライン専用ブランドは、中容量(8GB~30GB)が約67%と、圧倒的に多い。これは、それぞれのユーザー層に利用方法に違いがあるからですか。たとえば、キャリアサブブランドでは、ゲームや動画などマニアックな使い方をする人が多いとか。私の個人的な印象では、高い料金を出している大手キャリアユーザーが、もっとデータを使っていいはずだと思うのですが。

調査担当者 各サービスで小容量が比較的多いのは、通信サービスではユーザーは料金の安さを重視する傾向にあるため、契約時に小容量のプランが選ばれた結果だと思います。また、大手キャリアに関しては、容量をあまり使わないシニア層が多いため、小容量が多い傾向にあります。

オンライン専用プランは、開始当初、3社とも20GBのみのプランとして導入され、後から小容量・大容量帯が拡充されました。20GBがメインのプランであることと、開始当初契約したプランのまま変更していない人が多く、中容量が多い結果になったと考えられます。

――直近のデータ利用容量の調査と、契約時のデータを比較したグラフも面白いですね。総じて、全体的に契約データほど使っていない印象を受けます。しかも、特にその傾向が大手キャリアユーザーに顕著です。

調査担当者 おっしゃる通り、契約データよりも利用データが少ないのは、契約時のプランを見直す人が少ない、また、在宅勤務などWi-Fi環境がある場所で過ごす時間が増え、データをあまり使わなくて済む人もいると考えられます。容量をあまり使わないシニア層の影響もあると思います。

私自身は、オンライン専用プランであるahamoの20GBプランを契約していますが、10GB以下でおさまる月がほとんどなので、契約見直しや乗り換えなどでさらに支払額を下げることができるとわかってはいるのですが、手続きを面倒に思ってしまうため使い続けています。自分にとって、本当に最適な料金や容量を選び利用できている人は少ないのではないかと思います。

これまで、円安やデフレの日本では、官主導によりスマホ料金に関してもデフレが続いてきましたが、ここから徐々にスマホ料金も値上げになっていく可能性があります。この料金値上げは、動画などの大容量化と金融との融合によるARPU(Average Revenue Per Userの略。電気通信事業者の1契約あたりの売り上げをあらわす指標)向上の2軸が要因と考えられます。その時のために、準備しておくことをおススメします。

(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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