2024年 4月 27日 (土)

「国防力としての鉄道、全然儲かりませんよ?」 鉄オタ・石破茂議員が指摘する、ローカル線が担う「本来の役割」

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   少子化にともなう沿線人口の減少にコロナ禍が追い打ちをかける形で、多くのローカル線が存続の危機に立たされている。

   2022年7月に国交省の有識者会議がまとめた提言では、1キロメートルあたりの1日の利用人数を示す「輸送密度」(平均通過人員)が「1000人未満」の路線について、国が協議会を設置して沿線自治体や鉄道事業者と存廃を含めた議論を進めるように求めている。これを受ける形で、国主導の「再構築協議会」制度を盛り込んだ改正地域公共交通活性化再生法が成立し、23年10月1日に施行。その2日後の10月3日に、JR西日本が芸備線(備中神代~備後庄原)について再構築協議会の設置を要請したと発表した。JRとしては、採算が取れない路線の維持は難しい一方で、沿線自治体としては「地域の足」存続を望む立場だ。

   落としどころはどこにあるのか。永田町屈指の「鉄オタ」として知られる自民党の石破茂元幹事長インタビューの第2回では、ローカル線や、国会でも議論の対象になったライドシェアのあり方について聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 工藤博司)

  • 自民党の石破茂元幹事長。ローカル線のあり方について持論を展開した
    自民党の石破茂元幹事長。ローカル線のあり方について持論を展開した
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自動車や飛行機は上下分離なのに

―― JR北海道に限らず、ローカル線には採算が取れず、このままでは維持が難しい路線が全国に多数あります。23年10月には鉄道事業者と沿線自治体の議論を加速させる「再構築協議会」制度が始まり、JR西日本が芸備線の一部について設置を要請しました。(運行会社と鉄道施設の保有会社を分ける)上下分離、単なるバス転換、バス高速輸送システム(BRT)、DMV(デュアル・モード・ビークル=道路と線路の両方を走れる車両)など、さまざまな方向性があると思いますが、どの程度公費を投入すべきかを含めて、落としどころについてどのように考えますか。

石破: 基本、上下分離だと私は思っているんですよね。例えばバスは同じ公共交通機関でありながら、バス会社が買うのはバスだけです。それでも大変なのですが、バス会社が道路も作り、信号機を設置し...となったら、絶対もたない。航空会社が空港を作って管制システムを運用する、ということでは絶対に航空事業は成り立ちません。

なぜ鉄道だけが(事業会社が)線路を作るのか、維持費からみんな負担しなきゃいけないのか。それは、そもそもおかしくないですか?つまり、線路を引き、信号システムといった運行管理は公費で、鉄道会社は上を走らせればいい、という上下分離はそんな難しい話でも何でもなくて、バス会社、航空会社がそうです。同じ公共交通機関でなんで差があるのよ、という話なんですよね。

そうしていくと、今はJRは(ローカル線を)やめたくて仕方がない、地方は残したくて仕方がない。それは交わるはずがありません。そこへ、国が責任を持って「お座敷」を提供しますと(いうのが「再構築協議会」)。これは良いことなんだけれども、そもそも鉄道事業って上下分離であるべきじゃないですか、という、かなりプリミティブ(原始的)な議論からしていくべきだと私は思っています。

―― それでも存続が難しいところはありそうですね。

JR北海道は厳しい経営環境が続く。留萌本線は2023年3月末に留萌-石狩沼田間が廃止された
JR北海道は厳しい経営環境が続く。留萌本線は2023年3月末に留萌-石狩沼田間が廃止された
石破: どうにもならない、1日に数人しか乗らない、そういうものをやめることについては、そんなにコンセンサスが得られないとは思わないです。ただ、北海道には、札幌近郊路線の相当に採算が良いところ、あるいは都市間輸送、そして国境地帯を走る(といったさまざまな環境の路線がある)。日本人はほとんど意識しませんが、鉄道は戦車や弾薬も運びます。そういう役割を、鉄道は本来担うじゃないですか。

日本の場合、JRが戦車を運ぶとは信じられないかもしれませんが、これから先、日本の安全保障環境が非常に厳しくなるときに、そういう国防力としての鉄道、全然儲かりませんよ?それでも例えば原発がダメージを受けて、大量に避難させるときの鉄道、そういう役割をどう評価するかの議論が、あまりなされてないような気がします。

―― 例えば、旭川-稚内間は経営上は厳しいですが、一番北に通じているわけで、ネットワークを維持するという観点からは潰してはいけない、ということですね。

石破: そうですね、宗谷本線(旭川-稚内)なんか、そうだと思いますね。
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