共働き世帯の食事の強い味方「宅食サービス」どこが人気? 日本で歴史は浅いが、これから伸びていく市場

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   弁当や総菜を自宅まで届けてくれる「宅食サービス」。一人暮らしのお年寄りだけでなく、仕事と子育てに忙しい共働き世帯にも広がっている。

   「宅食サービス」はどこが人気で、どれだけ利用者がいるのか。モバイル専門の市場調査を行うMMD研究所(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2024年1月23日に発表した「宅食サービスに関する調査」によると、5人に1人以上が利用していることがわかった。

   人気サービスのそれぞれの魅力を、調査担当者に聞くと――。

  • 食事をする家族(写真はイメージ)
    食事をする家族(写真はイメージ)
  • (図表1)自宅で食事を作ることへの負担(MMD研究所の調査)
    (図表1)自宅で食事を作ることへの負担(MMD研究所の調査)
  • (図表2)食事を作らない時に利用するもの(MMD研究所の調査)
    (図表2)食事を作らない時に利用するもの(MMD研究所の調査)
  • (図表3)利用したことがある宅食サービス(MMD研究所の調査)
    (図表3)利用したことがある宅食サービス(MMD研究所の調査)
  • 食事をする家族(写真はイメージ)
  • (図表1)自宅で食事を作ることへの負担(MMD研究所の調査)
  • (図表2)食事を作らない時に利用するもの(MMD研究所の調査)
  • (図表3)利用したことがある宅食サービス(MMD研究所の調査)

人気トップ3は「ワタミ」「ニチレイ」「nosh」

   MMD研究所の調査(2023年12月26日~2024年1月5日)は、全国の18歳~69歳の男女5000人が対象だ。

   まず、「自身で食事を作ることに対して、負担を感じているか」と聞くと、53.6%の人が「負担を感じている」と答えた。興味深いのは男性が43.4%、女性が63.9%と、男性のほうが「負担を感じていない」人が多いことだ【図表1】。これはいったい、どういうことか。

   次に、「食事を作らないときに最も利用するもの」を聞くと、「お弁当・テイクアウト」(25.7%)が最も多く、次いで「インスタント食品・レトルト食品」(24.0%)、「チルド食品・冷凍食品」(20.5%)と続いた「宅食サービス」は2.7%にとどまった【図表2】。

   宅食サービスの利用経験を聞くと、利用経験がある人は約2割(21.8%)で、10代が40.3%、20代が39.7%と、若い人ほど利用者が多かった。なお、利用経験がある1092人にサービスを聞くと、「ワタミの宅食ダイレクト」(18.2%)が最も多く、次いで「ニチレイフーズダイレクト」(16.4%)、「nosh」(15.7%)と続いた【図表3】。

料理を作る負担、男性のほうが少ない謎の理由

   こうした結果をどう評価したらよいのか。J‐CASTニュースBiz編集部は、MMD研究所の調査担当者(女性)に話を聞いた。

――「自身で食事を作ることに負担を感じている」割合が、男性のほうが少ない結果が出ました。男性のほうが料理を作り慣れていないと思われるのに、不思議です。負担を感じていないのなら、いつも夫が料理を作ればよいと思いますが、いかがでしょうか。

調査担当者 この結果には私も驚きました。ただ、そのあとの食事を作る際に重視している点の性別の結果をみると、「おいしさ」「手軽さ」「コスト」「栄養」4項目ともに「重視している」割合が、女性のほうが高い結果となりました。

特に「栄養」と「おいしさ」では、かなり開きがあり、女性のほうが食事を作るうえで、こだわりが強い傾向があると考えています。職場の女性の同僚に聞いても、「料理をすることも負担だけど、献立を考えるほうがもっと大変なのよね」という声が上がりました。

「何が食べたいの?」と聞いても「なんでもいいよ」という返しをしがちな男性に比べ、何を作ればいいのかで立ち止まってしまう女性は、その面で負担を感じている人も多いと思われます。

――なるほど。ところで、「宅食サービス」の利用経験が20%前後という結果は、率直に言って多いと思いますか、少ないと思いますか。また、トップ3のサービスは、それぞれどんな魅力があるのでしょうか。

調査担当者 弊社で昨年(2023年)2月に実施した「日米仏3ヶ国比較:都市部消費者の食の意識・動向調査」で、日本のフードデリバリー全体の利用経験は66.3%となっています。

今回、利用経験でトップに上がった「ワタミの宅食ダイレクト」のサービス提供が開始されたのが2017年11月で、まだ、日本では歴史が浅いため、これから伸びていく市場かなと考えています。

トップ3のサービスの魅力は――。「ワタミの宅食ダイレクト」は、合計100種類以上のメニューが展開されているため、いろいろなジャンルの食事をとることができること。「nosh」は、メニューがすべて主菜1品と副菜3品で構成されているので、すごく健康的な食事内容になっていること。「ニチレイフーズダイレクト」は、「nosh」と違い、おかずのプレートだけでなく、カレーやパスタなどの一品料理があること......といった点でしょうか。

食事をネットで注文することが当たり前に

――担当者さんご自身は、個人的に「宅食サービス」を利用したことはありますか。

調査担当者 私自身は「nosh」を利用しています。疲れて食事を作るのが面倒になることが多かったため、レンジで簡単に1食分が食べられる点を魅力に感じています。もともとワンプレートメニュー(カレーやスパゲッティなど)ばかりを食べていたので、「nosh」を利用することで副菜も食べられようになりました。

――ちなみに、忙しい共働き世帯に、「宅食サービス」とともに、「食材宅配」と「ミールキット」が徐々に広がっていますが、MMD研究所では2023年5月に行なった調査では、いずれも利用率は2割前後ですね。

調査担当者 前置きとして説明をすると、「ミールキット」とは、食材とレシピが入った料理セット。「食材宅配」とは、野菜・果物や肉・魚など食材の注文・配送サービス。一方、「宅食サービス」とは、お弁当やお惣菜などの食事を宅配してくれるサービス。そのため、2023年5月調査と今回の調査の利用経験者は多少異なると思います。

「食材宅配」と「ミールキット」は、自身で食事を作るという点では料理をすることに変わりはないので、利用経験が2割前後であることは妥当かと考えています。そのうえ、「食材宅配」や「ミールキット」のような事前に注文しておくものよりも、自身でその時に思いついた食べたいものを作る人は多いのかと思います。

今回の調査では、食事を作ることに負担を感じている人が半数以上いることがわかりました。この結果からも、自身で食事をつくらなくていい「宅食サービス」の需要は高いと考えられます。

その際に利用されていたものは、以前までは「お弁当」や「インスタント食品」だけでしたが、コロナ禍を経て、自宅にいてもネットで注文できる「フードデリバリー」の利用が増加しています。食事をネットで注文することが活性化して、より当たり前になっていくと考えられます。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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