東京都の非正規職員として採用されているスクールカウンセラー(SC)250人が2024年3月末で一斉に「雇い止め」に遭うとして、当事者らが撤回を求めている。この問題について、公認心理師の職能団体である「日本公認心理師協会」が2024年3月7日、声明を発表した。「子どもが安心して相談することができる環境とはとても言えない」臨床心理士・公認心理師の労働組合「東京公務公共一般労働組合心理職ユニオン」は5日、雇い止めの撤回を求め、記者会見を開いていた。日本公認心理師協会が7日に発表した声明では、SCの役割について「チーム学校の一員として、子ども本人はもちろんのこと、ご家族や教職員等への心理支援業務を中心とした多様な業務を、全国各地で専門職として行っています」としたうえで、次のように例を挙げ、問題を示した。「たとえば、ある子どもが、小学3年生の冬から友だち関係の悩みをSCに継続的に相談しに行っていたとします。しかし、4月になりその子どもが4年生になると、これまで相談にのってくれていたSCが退職し、突然別の人になってしまいました。さらに、5年生になって相談しに行くとまた別のSCになっていました。このような状況は、子どもが安心して相談することができる環境とはとても言えないと思います」SCの雇用形態についても「現在、東京都が雇用するすべてのSCは『会計年度任用職員』となっています(名称は『東京都公立学校スクールカウンセラー』です)。『会計年度任用職員』は基本的に1年限りの雇用であり、その身分は1年しか保障されていません」と説明し、「そもそもの雇用形態が、毎年度のSC変更を可能にさせる理由となっており、子どもたちやご家族、教職員がその影響を受けることになります」と問題点を述べる。また、全国でも同様の雇用形態だとし、「今般の不再任問題は東京都だけの問題ではありません」とする。最後に、「子どもたちが安心して学校生活を送ることができるために、SCの雇用形態について、1年限りのものではなく、複数年継続して雇用するかたちとしていただくよう、国及び地方公共団体に強く求めます」と訴えた。
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