257作から選ばれた、「マンガ大賞2024」が決定した。「普通」ができない正反対の2人の友情物語『君と宇宙を歩くために』(作者:泥ノ田犬彦)だ。ウェブ漫画サイト「&Sofa」で連載中。授賞式が2024年4月2日にニッポン放送(東京都千代田区)のイマジンスタジオで行われ、泥ノ田さんと、「マンガ大賞2023」に選ばれた『これ描いて死ね』の作者、とよ田みのるさんらが登場した。先生に「悩みがなさそうでいいね」と言われてペンネームになぞらえた、黒い犬の仮面をかぶって登場した泥ノ田さん。『君と宇宙を歩くために』第一話がウェブに掲載された23年6月には、「こんな作品を世に出したら怒られるのではと、公開前日は不安で眠れなかった」ほどで、今回の受賞は想像もしていなかったという。喜びの実感がないまま壇上に立っている、と胸の内を明かした。『君と宇宙を歩くために』は、勉強もバイトも続かない、ドロップアウトぎみなヤンキーの「小林」と、彼のクラスに転校してきた変わり者の「宇野」を中心にストーリーが展開していく。大きな事件は起きないが、「周りの人間が普通にできていることが、できない」共通点を抱える二人が、日常の中でさまざまな壁にぶつかりながらも、楽しく生きようと奮闘する様を描いている。泥ノ田さんによると、宇野には明確なモデルがいるそうで、「私はその子が大好き」。一方の小林は、自身が学生時代にかけられた一言がきっかけとなって生み出したキャラクターだという。小林は一見ハデで、体が大きく、「すれ違ったら、人生に困っていなさそうに見える」人物だ。「私も学生の頃は小林と同じで悩みがあったのですが、先生に『悩みがなさそうでいいね』と言われたことが衝撃で。大人になっても引っかかっていた」(泥ノ田さん)とよ田さんは、『君と宇宙を歩くために』がウェブに公開された直後に読み、感想をSNSに投じていた読者の一人。授賞式では同作について「とても好き」と述べ、「生きづらい人への、優しいまなざし」を感じると評価した。泥ノ田さんも、「特定の誰かを傷つけないように」「読後に、ネガティブな何かをもたらないように」と思いを込めて描き綴っているそう。今回の受賞で、連載への思いを強めた泥ノ田さん。描きたいエンディングが一つ決まっていると語り、「自分が思ったところまで持っていけるように」頑張りたいと意気込んだ。「マンガ大賞」に輝いた作品の、「受賞イラスト」「マンガ大賞2024」は、101人の選考委員が257作品に投票した「一次選考」によって、ノミネートされた10作品が発表された。二次選考では、98人の選考委員が全ノミネート作品を読み、1~3位を選定し、ポイントで集計した。大賞を含む、今回の全ノミネート作品は下記の通り。大賞『君と宇宙を歩くために』泥ノ田犬彦/96ポイント2位『黄泉のツガイ』荒川弘/73ポイント3位『神田ごくら町職人ばなし』坂上暁仁/72ポイント4位『平和の国の島崎へ』瀬下猛、濱田轟天/59ポイント5位『ダイヤモンドの功罪』平井大橋/56ポイント5位『天幕のジャードゥーガル』トマトスープ/56ポイント7位『正反対な君と僕』阿賀沢紅茶/50ポイント8位『環と周』よしながふみ/49ポイント8位『ひらやすみ』真造圭伍/49ポイント10位『ファミレス行こ。』和山やま/28ポイント
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