低価格競争に加え、新規参入相次ぐ脱毛サロン業界
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した帝国データバンク情報統括部の担当者に話を聞いた。
――これほど巨額の負債と、多くの消費者被害を出した「アリシアクリニック」の破産の原因はズバリ、何でしょうか。
担当者 「銀座カラー」の倒産も大きいです。同じグループ企業としてやっていましたから影響をもろに受けました。コロナ禍の中の自粛要請が続き客足が減ったことも影響しています。
「銀座カラー」の倒産は、脱毛業界の競争が激化したことも響いています。低価格競争に加え、新規参入が相次ぎました。「銀座カラー」の倒産後、「アリシアクリニック」と「じぶんクリニック」は経営が厳しくなりましたが、資金調達を行って一時的に資金繰りが持ち直しました。ですが、さらなる資金繰りの改善のために、「アリシアクリニック」と「じぶんクリニック」と統合したことが裏目に出た形です。
――どういうことですか。
担当者 脱毛サロンでは莫大な広告宣伝費を投入します。そこで、「じぶんクリニック」の屋号を「アリシアクリニック」に変更しました。同じ名前にすれば、広告宣伝費が削減できるという狙いでしたが、これが逆効果でした。
これまでアフィリエイト経由で「アリシアクリニック」と「じぶんクリニック」がそれぞれ顧客を獲得していたのに、「じぶんクリニック」の顧客が蒸発してしまったのです。2社トータルでは新規顧客が減ってしまったわけです。
そこに社会保険料滞納の差し押さえ予告がきました。預金口座を押さえられると会社のお金を動かせず、事業が続かなくなります。