交通系ICカードのシステムは高コスト
交通系ICカードのシステムが全国にどんどん普及し、どの地域の人がほかの地域に行っても手持ちの交通系ICカードが使用できるような状況が進んでいた。しかし鉄道会社を中心とした交通系ICカードのシステムは高コストであり、中小事業者には荷が重いところがある。
JRなども中小事業者に導入しやすいようにしているものの、それでもコスト面の問題が発生する。SuicaとJR東日本を中心とした地域連携ICカードや、ICOCA導入業者へのJR西日本による支援もあるものの、どこかで事業者によってはエゴが出ることもある。
そのあたりを、クレジットカードのタッチ決済を扱う業者が突いてくる。
日本各地を旅行で行き来する人は、こうした状況に困るだろう。また、日本では交通系ICカードが便利ということを知っていた外国人が、現実に一部で交通系ICカードが使えない現実に、不便さを感じることもありうる。とくに広島の例は最たるものである。
このあたり、国土交通省が取りまとめて、交通系ICカードの利用手数料の値下げや、全国的な統一規格の制定などを実施することが必要になってくるのではないか。
また、JR東日本が進めているSuicaのクラウド化をほかの交通系ICカードでも実施できるようにし、運用コストも下げていく方向に持っていくことも求められる。(小林拓矢)
筆者プロフィール
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。