プロボクシングのIBF世界スーパーバンタム級1位サム・グッドマン(オーストラリア、26)が2025年5月14日、地元オーストラリアでノンタイトル戦を行い、セサール・バカ・エスピノーザ(メキシコ、23)を判定で下した。
井上戦のファイトマネーは100万ドルだったが...
24年7月以来のリングとなったグッドマンは、序盤からエスピノーザを寄せ付けず、3-0の判定勝利。地元メディア「Fox Sports Australia」(ウェブ版)によると、グッドマンは試合後、スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)との対戦を熱望したという。
約10か月ぶりに勝利し、プロデビューからの連勝を「20」(8KO)に伸ばしたグッドマン。試合後、「井上に挑戦したい。チャンスが欲しい。井上が逃げているとか、そういうことを言っているわけではない」と猛アピールしたという。
当初、グッドマンは24年12月24日に、指名挑戦者として東京・有明アリーナで井上と対戦する予定だった。
ところが、練習中に左目上をカットし延期に。試合は1か月後の25年1月24日に設定されたが、試合の2週間前にグッドマンが再び左目上を負傷したため、陣営は試合を辞退した。
オーストラリアメディアの報道によると、井上戦のファイトマネーは100万ドル(約1億4700万円)だったという。
「飼い犬のドッグフードを食べて空腹を満たした」
このような経緯もあり、井上戦を熱望するグッドマンだが、地元メディアの反応は冷ややかだ。
「Fox Sports Australia」は、「グッドマンは2年間の大半を井上の指名挑戦者として過ごしてきたが、指名試合を確保する可能性は低くなっている。グッドマンは、その代わりにIBF、あるいはWBOの暫定タイトルマッチに焦点を移す可能性がある」と解説した。
「Fox Sports Australia」が指摘するように、現状では井上との対戦は厳しい見通しだ。井上の25年度のスケジュールはすでに内定しており、26年度もすでに対戦候補が挙がっている。井上との対戦を望むならば、世界ランクをキープしながら待ち続けるしかない。
あくまでも井上戦にこだわりを見せるグッドマン。試合前、米メディアの取材に対して、井上戦をキャンセルしたことで経済的に困窮していることを明かした。100万ドルのファイトマネーを当て込んで、自宅を購入したが、試合が中止になったためローン返済に苦しんだという。
「Fox Sports Australia」によると、グッドマンは試合後、「全くお金がなかった。1ドルもなかった。知り合い全員から借金して住宅ローンの返済に追われた。本当に地獄だったよ」と振り返り、飼い犬のドッグフードを食べて空腹を満たしたことを明かした。