小泉進次郎農水相肝いりの政策で、備蓄米の新たな販売がスタートするが、転売行為の続発を危ぶむ声が早くも上がっている。農水省では、各社に販売制限は要請しておらず、転売がなされないように配慮を求めるに留まっている。1人1点に限ると告知している会社もあるが、抜本的な対策はあるのだろうか。吉村洋文大阪府知事「不都合を出来るだけ回避する策を」「買い占めが起こるのでは?」「転売ヤーの餌食になりそう」コメ価格の高騰が続く中で、2025年6月初めに5キロ2000円になることを目標に、政府が随意契約による備蓄米の放出に着手すると、ネット上では、こんな心配の声が相次いだ。「転売禁止の対策もしてた方がいい」「店頭ではお一人につき1袋とか制限するべきだ」といった意見も次々に書き込まれている。家庭用ゲーム機「NintendoSwitch2」を発売する任天堂が5月27日、不正な出品を防止すると発表したこととも比較された。その取り組みに協力するLINEヤフーが、ヤフオクなどでの出品を禁止する措置を取ったことを引き合いに出し、「楽天やヤフー、メルカリ等にコメの転売禁止を要請したらどうだ」といった提案も見られた。コメの生産強化や輸入米の拡大などを唱える吉村洋文大阪府知事は27日、備蓄米についてのX投稿で、「限定的かつ値段がかなり安いので、店頭に並んだ後、買えない不平等感や転売等の対象になるだろう。不都合を出来るだけ回避する策を検討しておいた方がいい」と提言した。備蓄米購入については、スーパーなど大手企業が次々に手を上げており、各社が5キロ2000円台などでの販売を目指している。生活用品大手のアイリスオーヤマは27日、政府と随意契約を結び、5キロ2160円(税込み)で29日からネット予約の受け付けを始めると公式サイトで発表した。6月2日にもネット上や一部の店舗で販売し、その際に、転売対策として、「お一人様1点限り。月一回の購入。会員登録が必要です」と制限を付けている。ヤフオク、Switch2に続き転売を明確に禁止ショッピングサイトを運営するLINEヤフーは5月27日、6月上旬の備蓄米販売を目指すと発表し、その中で「予約販売方式を採用し、一部のユーザーによる買い占めを防止する対策を講じる予定です」と明記した。さらに、28日夜になって、ヤフオクなどでの備蓄米の出品を禁止する取り組みを始めると、公式サイトで明らかにした。Switch2に続く思い切った措置だ。「この措置により、転売による価格高騰や供給不足を防ぎ、生活者に安定した価格でお米を提供することを目指します」としている。具体的には、備蓄米出品の削除対応、出品を行うユーザーのアカウント停止、AIなどを活用したパトロール強化などを挙げた。備蓄米転売の可能性について、小泉農水相は、28日の衆院農林水産委員会で、「そのご懸念は出ていると思う」としたうえで、次のように答弁した。「我々として、転売をしないようにということを付した上での売り渡しをしたい。どのような手段を講じることができるか、様々な検討が必要だと思っています」備蓄米を担当している農水省の貿易業務課は同日、転売対策について、取材にこう述べた。「客に売り渡す際には、転売がなされないように各社に配慮を求めることにしています。販売制限は指示しておらず、今後の予定もありません。スーパーなど販売先の判断ですることだと思います。備蓄米については、精米して1か月で食味が落ちますので、夏の暑い時期などはきちんとした管理が必要になります。これまでに備蓄米の転売について聞いたことはありません」(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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