故・安倍晋三元首相の妻の昭恵さん(62)が、ロシアのプーチン大統領とクレムリンで電撃的に面会し、その行動に関心が集まっている。「ご主人がロシアを訪問した際には、いつも同行されていたことを知っていますし、覚えています」「安倍昭恵さんの『巡礼外交』は続きますね」プーチン大統領が笑みを浮かべながら、歓迎のあいさつをすると、昭恵さんは、目頭を押さえる。それでも、涙があふれて、目からこぼれ落ちた。亡き晋三さんとの思い出が脳裏によぎったのかもしれない。安倍昭恵さんは2025年5月25日(現地時間)、プーチン大統領と面会し、その一部は国営テレビで放送された。ロシア大統領府(クレムリン)の発表などによると、昭恵さんは会談で、「ロシアは大切な隣国であり、文化的な交流はずっと続けていただきたい」と要望を伝えた。一方、プーチン大統領は、現在は状況が異なり、日露平和条約のことは話さないとしたものの、「ご主人が日露関係の発展に大きく貢献したことを高く評価します」と伝えた。日本でも、この会談は大きく報じられ、ロシア側が対日関係改善を模索しているなど様々な見方がされている。日経の記事によると、昭恵さんと同席していたのは、安倍元首相の側近だった薗浦健太郎元衆院議員(52)だった。今回、昭恵さんは、一体どんな狙いがあってロシアを訪問したのだろうか。安倍夫妻と親交を深めてきた社会学者の古市憲寿さん(40)は30日、「安倍昭恵さんの『巡礼外交』は続きますね」とXで投稿して、「たとえ国家同士が良好な関係でないとしても、隣国とあらゆる形で交流を続けることは大事だと思う」と昭恵さんの行動に理解を示した。昭恵さんと言えば、「家庭内野党」を自任し、晋三さんにも意見するなど、奔放な言動で知られている。その政治に反対する人たちとも交流したりするなど、独自の立場を貫き続けてきた。24年12月には、米国の次期大統領に決まったトランプ氏と電撃的に面会し、その後の講演会で、「本性は平和を愛し、優しい心を持っている」などと独自の見解を示していた。「ロシアのプロパガンダに利用されている」との声も昭恵さんの全方位外交ぶりについては、古市さんが、12月のテレビ出演で解説した。安倍元首相を批判してきた石破茂首相が訪米する道筋を昭恵さんが付けようとしていたとして、「意外と昭恵さん、大人だなって」と感想を漏らした。古市さんは、25年5月26日のX投稿では、「最近の昭恵さんは、追憶と巡礼の旅を通して、世界を新しくつなぎ直しているように見える。かつて愛するひとが訪ねた場所、ひとと、出会い直している。僕は『葬送の昭恵』と呼んでいます」と書き込んだ。晋三さん亡き後も、昭恵さんは、各国の要人などとの交流を続け、Xなどでその様子を盛んに伝えている。今回も、深刻な対立があっても、交流の大切さを訴えるための訪問だったのだろうか。こうした見方もあってか、プーチン大統領との面会について、「世界平和の為に動いて下さっている」「昭恵氏のような存在や、役割りは重要だ」「石破さんよりも重要視されてますね」と評価する声が出た。一方で、ロシアは、ウクライナ侵攻を3年以上続けているだけに、疑問や批判も噴出している。「ロシアのプロパガンダに利用されている」「間違った情報を海外に発信してしまう」「慎重な対応があって然るべきだ」といった声も多い。なお、林芳正官房長官は30日の会見で、「政府として安倍昭恵元総理夫人とやり取りはしておらず、政府としてコメントする立場にはない」と述べている。(J-CASTニュース編集部 野口博之)
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