JR東海道新幹線の車内で「煙が充満している」などと110番通報があり、警察などが静岡県浜松市内の浜松駅に駆け付けると、男性客がタバコを吸っていた、と地元テレビ局などが報じている。
新幹線では、2024年3月から全面禁煙になっているが、我慢できなくなったのだろうか。JR東海の東京広報室に詳しい状況を聞いた。
「車両に火がついているかも」通報で消防も出動
「車両に火がついているかもしれない。煙の匂いがする」
静岡放送(SBS)の25年6月2日付ウェブ版ニュースによると、同日18時15分ごろ、下り線の新幹線の乗客からこんな内容の110番通報があった。
新幹線が到着した浜松駅に、警察や消防が出動すると、火災は発生しておらず、男性客がタバコを吸っていたことが分かった。静岡県警がこの男性を事情聴取し、当時の状況を調べている。
東海道新幹線などでは、車内に設置されていた喫煙ルームは24年3月に廃止され、全面禁煙となっている。真偽ははっきりしないが、この客は、年配の男性で、車内を巡回していた警備員の注意を聞かずに口答えしていた、とXで目撃情報が寄せられ、車両火災になる恐れが指摘されていた。
JR東海の東京広報室は6月3日、J-CASTニュースの取材に対し、当時の状況を説明した。
それによると、110番通報したのとは別の乗客から、「タバコを吸っている客がいる」と巡回中の警備員に情報提供があった。警備員は、この客がタバコを吸っているのを現認したため、「喫煙はお止め下さい」と厳重に注意したという。警備員は、車掌にも状況を伝えた。
この注意でも止めなかったり口答えしたりしたのかについては、確認できていないという。「そのときに、どのような会話をしたのかについては、お伝えしていません」とした。この客がなぜタバコを吸っていたのかについても、答えられることはないとしている。
車内の喫煙ルーム廃止に理解求める
JR東海によると、乗客から110番通報があったため、18時20分ごろに到着した浜松駅に、警察や消防が駆け付けていた。タバコを吸っていた客に新幹線から降りてもらい、警察が車内で異常がないかを確認する作業を行った。
この影響で、新幹線は、9分遅れて浜松駅を出発したという。
車内での喫煙について、ネット上では、「我慢できないなら乗るな」「本当にいい迷惑だ」との声も出ているが、愛煙家を中心に、「何で新幹線に喫煙所ないんだよ」「やっぱ新幹線の中でもタバコ吸いたい」といった声も根強い。
喫煙ルームを廃止したことについて、JR東海では、次のように説明して理解を求めた。
「健康志向が高まって、喫煙率が低下しており、喫煙ルームをなくしてほしいとの要望が以前から寄せられていました。世の中の流れもあって、全面禁煙に踏み切ることにしました。しかし、駅の喫煙ルームは残しており、完全になくしてはいません。車内で喫煙されている方をお見かけすれば、お声がけはしていきます」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)