米投資ファンドのダルトン・インベストメンツとその関連会社は、2025年6月1日、フジテレビを傘下に置くフジ・メディア・ホールディングス(HD)が、大株主のダルトンと計64回の「対話」をしたと発表したことに対し、ほとんどが「事務連絡」だったと反論した。
フジ・メディアHDはこれに「当社が提案株主様とメール、電話、面談等を通じて対話してきたことは事実です」とし、やり取りの中で提案内容の問題の指摘や差し替えが行われたとした。
フジ側「法令の許容する限り柔軟に対応」と主張
フジ・メディアHDをめぐっては、フジテレビと中居正広氏の問題を受け、ダルトンから12人の取締役候補者の株主提案を受けていた。フジ・メディアHDは5月16日、この株主提案について、候補者全員を一括採用すると会社法上不適法になることや、面談や質問状への回答を拒否した候補者もいたことなどから、「取締役全員一致の決議により、本株主提案に反対します」と発表した。
ダルトンは22日、フジ・メディアHDの反対決議について、「こちらの候補者についての協議は一切なかった。このような情報操作は遺憾」「当方と協議もしないで全員反対と決めたのは遺憾で、真摯に検討したとは思えない」などと反論した。
フジ・メディアHD は28日、ダルトンや各候補者との個別面談や書面の提出を通じて「真摯に対応してまいりました」として、その経緯を発表した。また、当初の提案には不備があったほか、ダルトンの「関係者2名を会社提案に含めることが、協議を行う必須条件」との主張を受けたと説明。ダルトンは提案内容の一部差し替えや補足資料を提出したが、フジ・メディアHD はそれにも「法令の許容する限り柔軟に対応」したとする。
フジ・メディアHDは、株主提案を受領以降、「これまでに計64回のメール・電話や面談(対面及びオンライン)を通じて、提案株主様と真摯に対話してまいりました」とした。
フジ側は一貫して「取締役会で真摯に検討」
これにダルトンは再反論。6月1日、同社が「対話」と考えているものは「4月21日(月)の清水専務とのウェブ会議」と「5月14日(水)の深水常務とのウェブ会議」の2回のみだとするコメントを発表した。
ダルトンは、同社側とフジ・メディアHDのIR部長との間でそれぞれ約30通、計60通ほどのメールのやり取りをしており、そのほとんどが「事務連絡」だったとした。
また、ダルトンは同日、フジ・メディアHDの株主に向けて、6月25日に予定される定時株主総会で、最適だと思う取締役を選んで投票するよう呼びかけた。
64回のやり取りのうちほとんどが「事務連絡」だったとの主張について、フジテレビ企業広報部は3日、J-CASTニュースの取材に対し、「当社が提案株主様とメール、電話、面談等を通じて対話してきたことは事実です」と回答。具体的には、次のように説明した。
「『提案株主様の関係者2名を会社提案候補に含めることが協議を行う必須条件である』等のご主張はこれらの対話の中で繰り返し行われました。また、株主提案の内容に関する問題の指摘や提案の差し替えも行われました。加えて、株主提案の候補者のうち拒否された2名を除く方には個別面談や書面の提出をいただき、取締役会で真摯に検討してまいりました」