「今度ダメだったら、3年4年先になってしまうな」
細川護熙・元首相が1992年に起ち上げた日本新党の結成宣言のなかに、中選挙区連記制はあったという。その直後に細川氏は雑誌で対談して、当時の宮沢首相側近だった秀征氏と意気投合、秀征氏は宮沢政権の終わりとともに自民党を離党すると明言したそうだ。秀征さんはいまなお、一般の人向けに考えを話す「さきがけ塾」をたまに開いているというので、2025年5月の終わりに訪ね、聴衆に交じって聞いてみた、
――参議院選で、今の与党が参議院でも「少数」となると、前回選挙制度が変わった30年前と同じような混乱状態になって、再び選挙制度が転換するチャンスが来るのでは?
秀征塾長 「いや選挙前にも、(選挙制度を)一気に変える環境にあると思う」
――いや、会期末まで1か月もありません。何より、今の小選挙区比例代表並立制で当選してきた人たちは、自分の地位を脅かす選挙制度の変更には、そろって反対しますよ。
塾長 「いや、そうでもない。自民党では次の衆院選で負けると思っている人がいっぱいいるから。きっと通りますよ」「でもね、(首相には)相当な決断が必要になる。今度ダメだったら、3年4年先になってしまうな」「石橋湛山(終戦直後の首相)が言ったように、議会は、時代を救うすぐれた指導者を選ぶためにあるんだ。もう一度考えてほしい」
選挙制度に絶対はない。「改革できたとしても、20年後の制度見直し条項を忘れぬよう」。秀征塾長は、付け加えた。
(ジャーナリスト 菅沼栄一郎)