2025年7月20日に投開票が予定されている参院選の比例代表として国民民主党公認で出馬する山尾志桜里元衆院議員が6月10日、国会内で記者会見を開いた。自身の出馬により党への批判が高まっていることについて、「正直、想定以上だった」とし「社会のお声だと思っている」と述べた。出馬について、交流サイト(SNS)上で反発が広がっているが、改めて意欲を示した。また、自身の不倫疑惑などについて、前の説明を繰り返し、新たな説明はなかった。何のための記者会見かわからず、不出来筆者は、10日の記者会見を見た後、Xで「出るの?ガソリン投入WWW」とポストした。はっきり言って、何のための記者会見かわからず、不出来だった。11日朝放送のニッポン放送「垣花正あなたとハッピー!」でも取り上げた。国民民主にとっては支持率の下落傾向に歯止めをかけられるかが焦点だが、党内には「擁立を取りやめるべきだ」との声も出始めた。結果として、あまりに山尾氏の記者会見が不出来であったので、国民民主は山尾氏の公認内定を取り消さざるを得なくなった。遅きに失した感があるが、これ以上の支持率低落は食いとどめたいのだろう。3週間前、玉木雄一郎代表は、一人の候補者によって国民民主が揺らぐことはないと豪語していたが、もろくも崩れた格好だ。それほど山尾氏の破壊力は半端でなかったが、公認取り消しで国民民主の支持率低下に歯止めがかかることを期待したい。玉木代表はなんとしても参院選で結果を筆者としては、国民民主の経済政策を評価しているので、こうしたスキャンダルで評判を下げるのは残念で仕方ない。ただし、政治はそれも含めて結果責任なので、玉木代表はなんとしても参院選で結果を示さなければいけない。一方、自民は、解決が「チョロい」コメ問題を小泉進次郎農水相が鮮やかに解く絵柄を連日オールドメディアが放送し、石破政権の支持率が向上している。これは、前回の本コラムで予想したとおりであるが、この小泉劇場と山尾問題のあまりのコントラストに、政治は一寸先は闇を改めて思わざるを得ない。ただし、7月20日まではまだ時間がある。今、国会が終盤になっているので、いつもの風物詩である内閣不信任案が話題になっているが、それを待たずに石破政権は勢いに乗って衆院解散を言い出す可能性すらある。筆者としては、いっそのこと7月20日が衆参ダブル選挙になって、できるだけ国民の声を反映させる場を作るのもいいのではないかと思っている。++ 高橋洋一プロフィール高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。
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