西武が強い。2025年6月12日の阪神戦(ベルーナ)で4-1と逆転勝利を飾り、同一カード3連勝。交流戦で阪神に3連戦3連勝を飾るのは史上初だった。西武は貯金5に増やし、首位の日本ハムを2.5ゲーム差で追走。球団史上ワーストの91敗を喫し、昨年は借金42の最下位とどん底にあえいだが、完全に生まれ変わっている。劣勢の展開からひっくり返す広島には敵地・マツダで3連敗を喫したが、そのままズルズル落ちない戦いぶりがたくましさを感じさせる。セ・リーグの首位を快走する阪神との3連戦は、いずれも劣勢の展開からひっくり返した。初戦の10日は2点差を追いかける8回に打者一巡の猛攻で、一挙4点を奪って逆転勝利。11日も0-2の9回に湯浅京己、岩崎優を攻略した。源田壮亮が右前に引っ張り2点適時打で同点に追いつくと、炭谷銀仁朗が右前に落とす執念の一打でサヨナラ勝利。12日は初回に森下翔太のソロで先制を許したが、序盤ですぐに逆転して試合の主導権を握った。「今年は攻守でスキがない」他球団の関係者は「昨年は数字に表れないミスを含めてプレーに緻密さが欠けている印象がありましたが、今年は攻守でスキがない。特に守備が強固で1球1球への集中力が凄い。守り勝つ野球が徹底されていますよね」と指摘する。象徴的な場面が12日の阪神戦にあった。3点リードの8回1死満塁のピンチで、一塁手のネビンが気配を消して素早く一塁ベースに入ると、山田陽翔が鋭くターンしてけん制。帰塁が遅れた一塁走者の佐藤輝明をアウトにした。その後の2死二、三塁で大山悠輔を遊ゴロに仕留めて無失点に。高度なピックオフに成功したことがこの試合の分岐点となった。パリーグを盛り上げるダークホースが、ペナントレースの主役になる可能性を十分に秘めている。(中町顕吾)
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