引退間近の寝台特急「カシオペア」を撮ろうと、宮城県内のJR東北本線の線路に一部の鉄道ファンらが立ち入ったと各メディアが報じ、厳しい対応を求める声がネット上で相次いでいる。
カシオペアは、1999年に上野~札幌駅間で、豪華な夜行列車として運行が始まった。赤・青・黄色のストライプが入った白い瀟洒なデザインで、鉄道ファンらの人気を集めて来た。
沿線には、列車運行のたびに多くの鉄道ファンの姿が
16年に寝台特急としての定期運行が終わり、観光列車「カシオペア紀行」としてツアー専用に臨時運行されている。しかし、老朽化のため、25年6月をもって運行を終了すると発表された。
5月からは、運行開始 25 周年の記念ツアーが始まっており、カシオペアの最後の雄姿を撮ろうと、沿線には、ツアーのたびに多くの鉄道ファンらが集まっていた。
JR東日本東北本部の広報担当者がJ-CASTニュースの取材に答えたところによると、6月15日の午前9時15分ごろ、東北本線・上り列車の運転士が、館腰駅(名取市)―岩沼駅(岩沼市)間で、線路内に人が立ち入っているのを見つけ、緊急停車した。仙台駅―岩沼駅間の上下線で運転を見合わせ、安全確認が取れたため、約40分後に全面で運行再開した。
その結果、上下線計2本が運休し、下り線で普通列車1本が遅延した。乗客約1100人に影響が出たとしている。
各社の報道によると、カシオペアの下り列車が走行する予定だったが、岩沼駅付近で一時ストップしたという。カシオペアは、14日22時40分に上野駅を出発し、翌15日9時40分に仙台駅に到着予定だった。
カメラを持った鉄道ファンの男性2人が線路内に立ち入っていたといい、乗務員が線路外に出るように促したとの報道もあった。
警察への通報「ケースバイケースで、現場の社員が判断」
鉄道ファンらが立ち入ったのかについて、JR東日本東北本部では6月16日、取材に対し、「発表しておらず、鉄道ファンの方かは分かりません」と答えた。
JR側から警察に通報したのかについては、こう話した。
「通報はしていません。ケースバイケースで、現場の社員が判断しています。通報しなかった理由については、聞いていません」
列車にドライブレコーダーがあるかについては、「セキュリティ関連のことは、お答えできません」とした。
線路立ち入りについては、「列車が通るところですので、一般の方の立ち入りはお止めいただきたいと思っています」と述べた。
宮城県警の岩沼署は16日、取材に対し、警察に通報があり、現場へ出動したが、立ち入りは確認できなかったと説明した。
「ドライブレコーダーの映像は、確認したはずです。立ち入った人が特定できれば、捜査することになります。今のところ、目撃情報は寄せられていません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)