首都圏~北東北を想定
発表では、首都圏~北東北エリアを想定していると記されている。E657系は、直流電化区間と交流50Hz区間で走ることができる。青函トンネルでの走行には対応していない。そうなると、JR東日本エリアとその周辺の第三セクターとなる。
まず考えられるのが、上野~青森間である。上野駅の地平ホームから出発するのがいいだろう。頭端式ホームがノスタルジアを感じさせる。日暮里~岩沼間は、東北本線経由と常磐線経由の2通りが想定できる。
東北本線経由の寝台特急列車には、「はくつる」があった。1964年10月ダイヤ改正で20系客車を使用した寝台特急として誕生、1968年10月ダイヤ改正で583系電車になり、速達性が向上した。583系電車は、昼間は座席車、夜間は寝台車として使用できる画期的な車両であり、旺盛な移動需要に応えるための車両だった。1994年12月のダイヤ改正で24系25形客車になり、2002年12月のダイヤ改正で廃止に。
常磐線経由の寝台特急列車には、「ゆうづる」があった。1965年10月改正で登場、1968年10月改正では2往復になり、1往復は583系電車になった。「ゆうづる」は増発を続け、最大7往復あった。1993年12月改正で廃止となる。
ただ、もっと長距離・長時間乗りたいという人も多いはずだ。そうなると上野~新津~秋田~青森のルートになる。日本海側経由で青森をめざす列車だ。2014年3月改正で廃止された「あけぼの」はそのルートを走っていた。「あけぼの」はもともと、福島・山形を経由する奥羽本線の夜行列車に使用されていたものだったが、秋田新幹線開業時に新津経由の「鳥海」の名前をこちらの名前に変更した。上野から新津経由で青森までとなるとちょっと距離は長いが、秋田までなら列車を設定しやすいかもしれない。
また、東北本線経由「八甲田」、常磐線経由「十和田」といった夜行急行を思い出す人も多いだろう。
そんな過去の名列車を思い起こさせるような列車を、新しい夜行特急列車で走らせてほしいものである。(小林拓矢)
筆者プロフィール
こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『京急 最新の凄い話』(KAWADE夢文庫)、『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)。