参院選が公示された2025年7月3日、国民民主党の玉木雄一郎代表らは東京・新橋駅前で第一声をあげた。ただ、比例区から立候補した須藤元気氏は姿を見せず、独自に出陣式と「第一声」に臨んだ。出陣式が行われたのは、須藤氏の地元、東京・東陽町の東陽公園前にあるバス停。事前告知がほとんどなかったこともあって、集まったのは30人未満。波紋を広げた医療関係の発言はなく、食糧自給率のアップや有機農業の推進を訴えた。前日告知は公式LINEで、Xは直前に須藤氏をめぐっては、新型コロナウイルスのワクチン接種やマスク着用などの感染対策をめぐり、否定的な発信を続けてきた経緯がある。6月30日、党所属の医師免許を持つ衆院議員の動画の中で、自らの過去の発言を「科学的根拠に乏しい発信だった」などと述べ、その数時間後に行われた街頭演説後にも、報道陣の前で同様の反省の弁を述べた。参院選初日の須藤氏のスケジュールは、14時から東陽公園前で出陣式、18時からJR秋葉原駅前で第一声、というもの。これは、24年秋の衆院選に立候補した際に利用していた須藤氏のLINE公式アカウントで、7月2日の18時58分に送信された。登録なしでも見られるXでの告知は、7月3日13時52分だった。告知の範囲が狭かったためか、出陣式に姿を見せたのは、報道陣や陣営関係者を含めても30人に満たなかった。国会議員やムービーカメラは確認できなかった。「自然と秩序を守りながら生きていかなければ、人類どころか地球がもたない」須藤氏は、食糧安全保障に続いて、有機農業の推進に言及した。参院議員時代(19~24年)に農林水産委員会に所属し、そこで有機農業を推進していたとして、「1970年から2022年までこの半世紀で野生生物の73%がいなくなっている。たった半世紀で7割近くの野生生物がいなくなっている。このままいったらどうなるだろうか。やはり自然と秩序を守りながら生きていかなければ、人類どころか地球がもたない」などと述べた。世界自然保護基金(WWF)が24年10月に発表した報告書では、この50年で世界の野生生物の個体群は平均73%減少したと指摘している。この点を念頭に置いているとみられる。それ以外には「ソフトパワーの外交にも力を入れたい」と訴えたほか、党が掲げた「手取りを増やす」にも言及した。(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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