東京と神奈川をつなぐ小田急電鉄では、「ありがとう」と記載された駅名標のカードを配布する取り組みを行っている。同社の広報部によれば、駅係員に忘れ物を届けた客などに渡している。SNS上でもたびたび話題になるこのカード、どんな思いを込めた取り組みなのだろうか。詳しく小田急に聞いた。
体調を崩した客を救護した場合にも配布
カードのデザインは小田急線の駅名標のようになっている。「ありがとう」という大きな文字が自駅名の箇所に記載され、その下には、「Thank you」との小さな文字がある。左右の駅名の箇所では、「小田急」から「お客さま」へと矢印が向かい、「お客さまのご厚意に感謝いたします」とのコメントもついている。
2025年7月上旬にもSNSで大きな注目を集めた。これまでも何度か忘れ物を届け、複数枚の「ありがとう」のカードをもらっているとするXの投稿だ。この取り組みを初めて知ったと反応する声などが寄せられた。22年5月上旬にも話題になっている。
同社の広報部によれば、正式名称は「Thank youカード」だ。16年3月28日から配布を始めた。小田急線全70駅で、駅係員のみが持っているという。忘れ物を駅に届けた場合以外でも、体調を崩した客を救護した場合などにも渡している。
「感謝の気持ちをお伝えするためにお渡ししているため、窓口以外の場所でお渡しする事もございます。ただし、列車運行における安全確認時や駅の混雑時など、状況により必ずしもお渡しできるものではございません」
カードを配布する理由や狙いについては、次のように説明する。
「お忘れ物をお届けいただいたことに対する感謝の気持ちと責任を持ってお預かりしますという気持ちを込めて実施しているものです。また、カードをお渡しする事で、お客さまへ感謝の言葉をお伝えしやすくなったことや、お客さまと会話をさせていただく機会の増加につながっていると認識しております」
カードのデザインは1種類。先述したようなレイアウトになっているほか、駅のナンバリングの箇所には「OER39」という表記もある。Odakyu Electric Railway(小田急電鉄)のアルファベットの頭文字「OER」に、Thank youを数字で表した「39」を合わせたものだという。
カードをもらった人からは「カードを快く受け取っていただけている」。広報部は「駅係員の感謝の気持ちがお客さまに伝わっているものと認識しております」としている。