「SmaSTATION!!」(テレビ朝日系)や「ナニコレ珍百景」(同)などを手がけた元放送作家で、現在はYouTuberとしても活動する長谷川良品氏が、2025年8月14日にユーチューブを更新し、暴力事案で揺れる広陵高校のテレビ報道について「醜悪さ」を指摘した。
「被害を受けた部員は3月末に転校」
第107回全国高等学校野球選手権大会(甲子園大会)に出場していた広陵高校は10日、1月に起こった複数の野球部員による暴力行為を理由に、出場を辞退することを発表。広陵高校は、1回戦で旭川志峯高校(北北海道)に3-1で勝利し、2回戦進出を決めていた。
広陵高校は、6日に公式サイトを通じて、1月に1年生部員(当時)に対し、2年生部員(当時)4人による「暴力を伴う不適切な行為」があったことを認め、経緯を説明し謝罪した。被害を受けた部員は3月末に転校したという。
今回の広陵高校野球部による暴力事案は、社会問題と化し、テレビのワイドショーや情報番組などで連日、取り上げられている。
このような状況の中、放送作家として長らくテレビ業界に関わってきた長谷川氏は、「広陵の甲子園辞退のテレビ報道の醜悪さ【すべてはSNSが悪い】」などのタイトルで動画を公開した。
動画では、テレビ朝日の井澤健太朗アナウンサーが、8月11日放送のニュース番組「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)で、広陵高校の暴力事案をめぐり、「SNSの何気ない投稿が高校球児の夏を終わらせてしまうということも投稿する前に考えてほしいと思います」と呼びかけたニュースを紹介した。
「スーパーJチャンネル」では、広陵高校の暴力事案に関するニュースを報じたあと、井澤アナが「大前提として被害を受けた方、そして受けたとされる方が納得できる調査、対応が必要だと思います」と話した。続けて、「それとは別に、SNSの何気ない投稿が高校球児の夏を終わらせてしまうということも投稿する前に考えてほしいと思います」と呼びかけた。
テレビのSNS批判は「『おまいう』案件として自身に被弾」
井澤アナの発言は、インターネット上で大きな注目を集め、SNSではさまざまな意見が寄せられ物議を醸した。
このような一連の流れを踏まえ、長谷川氏は「今回の件、10年ほど前ならば、闇に葬られたかもしれません。そもそも部活という閉鎖的空間にはびこる暴力には、いまだ警察権力が介入しづらいということは事実でしょうし、そういう理不尽な告発手段として、SNSに頼らざるを得ない親御さんの気持ちは痛いほどわかります」と語り、次のように持論を展開した。
「だからといって、『SNSで一方的につるし上げ、懲らしめよう』という機運が高まるのは危険すぎるという指摘も理解できます。いずれにせよ、その是非はともかく、今回の件で最も違和感を覚えるのは、テレビのこの件に関する扱い方。物言いというより、スタンス。結局は、このチャンネルで一貫して指摘しているように、その論調の骨子を探ってみると、どの局にいたっても『テレビはいいけどSNSはだめよ』でしかない」
そして、今回の暴力事案に対するテレビ報道について、こう指摘した。
「今回のケースでいうと、高校や高野連の対応の不手際等に関しては、ほぼ言及することもなく、少なくとも綿密な周辺取材もない。そのうえで、SNSの暴走ばかりを指摘。もちろん、そういうSNSの暴走に警鐘を鳴らすこと自体、全否定するつもりはありませんが、とはいえ、そういう発言をテレビが繰り返せば繰り返すほど、『おまいう』案件として自身に被弾する」
甲子園大会の大会期間中に不祥事での出場辞退は史上初の事例で、今回の広陵高校による暴力事案は、高校野球ファンのみならず、多くの世間の目が注がれている。