「流行ってはいるが、トレランかどうかは分からない」
ヒグマが生息する登山道で走ることについて、知床財団の担当者は8月22日、J-CASTニュースの取材にこう話した。
「ヒグマは、積極的に人を襲う動物ではありませんが、気づかれないでバッタリ遭遇し、お互いに驚いたりすれば、反射的に攻撃されるリスクはあると思います。鈴などで音を出して周囲を確認しながら、ヒグマの気配がないか用心して進むのが大切です。知床は、クマの生息密度が高く、安全を考えますと、いい行動だったとは言えないでしょう。特に、見通しが悪い場所ではそうで、走っていますとガサガサという音も確認できません」
そんな中で、被害者の男性がなぜ走っていたのかについては、こう述べた。
「人によってスピードも違いますし、それが登山のスタイルなのかなどは分かりません。現場では、全力疾走ではないかもしれませんが、同行者への聞き取りなどから、被害者が走っていたことは確認しています。羅臼岳の登山には、上りが5時間、下りが3、4時間として、往復8~9時間は普通ならかかります。今回は、11時で登山口まで1時間弱のところまで降りて来ています。登山の行程を見ても、かなり早いペースだと言えるでしょう」
男性と友人がトレイルランニングをしていたかについては、「全国的に流行っているのは承知していますが、定義もはっきりしていませんし、そこのところは分かりません」と答えた。
今回はトレイルランニングだったかは不明だが、全国的には、その最中にクマに襲われるケースが報じられている。
23年8月には、京都市内の登山道でトレイルランニングをしていた50代女性がツキノワグマに襲われて耳や手にケガをしたほか、24年6月には、長野県内の山道でトレイルランニングをしていた48歳男性がツキノワグマに肩をかまれた。海外では、トレイルランニング中にクマに襲われた死亡例がいくつか報じられている。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)