日本航空(JAL)の機長(64)が滞在先のハワイ・ホノルルで飲酒したことが原因で乗務ができなくなり、計3便で最大18時間遅れた問題で、国土交通省は2025年9月10日、JALに対して行政指導にあたる厳重注意を行った。これを受けてJALの鳥取三津子社長らが記者会見し謝罪した。事案を起こした機長の懲戒解雇処分を決め、それ以外にも飲酒リスクの高いパイロット4人を乗務から外していることも明らかにした。肝機能の数値をはじめとする健康関連データを重視国交省の厳重注意では、JALの取り組みについて「飲酒に関する管理監督が十分であったとは言えない」「社員一人一人に安全意識が徹底されていないと言わざるを得ない」などと指摘。9月30日まで再発防止策の提出を求めている。JALでは、それぞれの対策として、飲酒に関する管理の仕組みを見直し、理解度に応じた教育メニューを検討すると説明している。前者については、これまでは3段階でリスク評価していたものを、γ(ガンマ)-GTPといった肝機能の数値をはじめとする健康関連のデータを重視して4段階に改めた。それに基づき、新基準で特に飲酒リスクの高いパイロットを乗務から外すことにした。それ以外にも、飲酒リスクが高いとみられる人については、滞在先でのアルコール検査結果の画像提出を求めることを検討する。現時点で4人がリスクが高いと判断され、暫定的に乗務から外れて自宅待機になっている。懲戒解雇が決まった機長も、新基準に当てはめれば乗務から外れる対象だったが、旧基準ではリスクが低いと評価され、今回の事態に至った。鳥取氏は4人について「乗務ができなくなったので、そのまま放置するということではなく、当然、この方々の数値が下がるような努力も一緒に伴走してやっていく」とする一方で、それ以外にも確認すべきファクターはあるとして、「数値が下がればそのままストレートで乗務に戻ります、という、そういう短落的なものではない」と話した。一方、懲戒解雇処分が決まった機長は「ご説明をしたときに、そのまま(懲戒解雇を通告する文書に)サインをしたと聞いている」(鳥取氏)として、特段の釈明や謝罪はなかったという。「40年という月日に対して裏切ったような思い」、ジャンボ機事故遺族にも謝罪鳥取氏は会見冒頭、次のように謝罪した。「お客様、ご遺族の皆様、そして、ご関係の皆様に大変ご迷惑とご心配をおかけいたしましたことを、心より深くお詫び申し上げます」「ご遺族」とは、単独機の事故としては世界で最も多い520人が犠牲になった日航ジャンボ機事故の遺族を指す。25年8月12日が、事故発生から丸40年の節目で、改めて安全運航を誓ったはずだったが、今回の事案は、わずか半月後の8月27日(現地時間)に起きた。鳥取氏は、謝罪の対象に遺族を含めた理由について、次のように説明した。「度重なるこういう事例に対して、憤りや不信感を超えて、あきれているというような状況だと思うし、まさに40年という意味では、これまでのご遺族の方の、40年という月日に対して裏切ったような思いがあり、冒頭にお伝えをさせていただいた」(J-CASTニュース編集委員兼副編集長工藤博司)
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