大リーグのピッツバーグ・パイレーツで内野手としてプレーした韓国出身のカン・ジョンホ氏(38)が、サンフランシスコ・ジャイアンツに所属する「韓国のイチロー」イ・ジョンフ外野手(27)の「パワー不足」を指摘した。イの今季は打率.266、8本塁打、55打点、10盗塁カン氏は、韓国を代表するスラッガーで、13年に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に韓国代表として出場した。韓国プロ野球(KBO)リーグで活躍し、14年オフにポスティングシステムを利用してパイレーツに移籍した。当時の米メディアによると、4年総額1100万ドル(当時レートで約11億8600万円)の契約だったという。大リーグでは4年通算で打率.274、46本塁打、120打点を記録。19年シーズンを最後に、パイレーツを退団し、現役引退した。現在は後進の指導に当たっているという。カン氏は、韓国メディア「OSEN」の取材に対し、大リーグ2年目のイの今シーズンを独自分析した。イは23年オフにポスティングシステムを利用してジャイアンツに移籍。大リーグ1年目の24年は、5月に左肩を負傷して戦線離脱し、そのままシーズンを棒に振った。実質、大リーグ1年目の今シーズンは、シーズンを通して好不調の波が激しかった。センターのレギュラーとして150試合に出場し、打率.266、8本塁打、55打点、10盗塁を記録。出塁率と長打率を合わせたOPSは.735だった。KBO時代に比べ、大きく打率を落としたイ。カン氏は、期待されたほどの結果を残せなかったイの打撃について、「直球への対応が容易でないため、変化球への対応も難しくなる」とした上で、次のように分析した。「大リーグでは直球と変化球の球速差が大きくない」「速い変化球も、直球のタイミングで、行き当たりで対処しなければならないのに、それをふたつに分けて見ようとするから難しい問題が生じる。直球に対応できる能力をまず身につければ、バットを振れた状態で変化球に対応する能力が生まれる。大リーグでは、直球と変化球の球速差が大きくない。それをどうやって見分けるのか。直球対応能力をまず作り上げた上で、直球より少し遅い変化球に対応できることを学ばなければならない」そして、シーズンを通して安定した力が発揮できなかった要因に言及。自身の大リーグでの経験を踏まえ、来シーズンに向けての課題を指摘した。「イ・ジョンフは、韓国野球をいわゆる『食い尽くして』大リーグに行ったが、パワーが足りなかった部分があった。それが今年明確に表れた。イ・ジョンフは来年、その部分をどう克服するかが鍵だ。打率をもっと気にするか、パワーをもっと上げるか、本人が選択する必要がある。今年が大リーグ2年目だから、そうした部分をうまく補完できれば、より良い選手になるだろう」イは9月29日に今シーズンの全日程を終え、30日に韓国に帰国。韓国の空港で報道陣に対応したイは、大リーグ2年目を、こう振り返ったという。「速球は速くても見ているうちに慣れてくるが、変化球は全く違う。韓国に95マイル(153キロ)のチェンジアップを投げる投手はいないだろう。韓国ではあれが直球の球速なのに、これを直球のタイミングで打つべきか、変化球のタイミングで打つべきか悩んだ。多くの試行錯誤を経験した」イは、球団と6年総額1億1300万ドル(約164億円)の大型契約を結んでおり、来シーズンが大リーグ3年目となる。
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