高市政権がスタートした。日本維新の会との連立政権だ。維新は改革政党で無駄のカットなどを得意とする。高市自民は積極財政だ。一部には無駄カットは小さな政府で緊縮財政になるとの懸念もある。両党の合意文書をみると、維新の要求をベースとしているためか、マクロ経済の項目が見当たらない。吉村洋文代表は積極財政について否定もしない、どうぞといっている。
「城内実さんは責任ある積極財政の会最高顧問」
となると、積極財政かどうかは、人事を見るしかないので、筆者としての注目点だった。組閣人事こそ最高のメッセージだからだ。なお、当然のことながら、積極財政と補助金カットは矛盾しない。
高市政権人事をみて、筆者はXに次のように連投した。
「高市政権凄いな。Z涙目。片山財務相、城内実成長相。ほんまもんの積極財政だよ」
「城内実さんは責任ある積極財政の会最高顧問。オールドメディアはこの人事がわからないな」
「この役員名簿をみれば、城内さんのほか、松本さん、黄川田さんが入閣しているぞ。まさに責任ある積極財政政権」
「さらに官房副長官に尾崎正直さん、佐藤啓さん、ともに責任ある積極財政の会。これほど徹底しているとは驚きものの木。さらに、入閣した小野田紀美さんもメンバー」
ここでZというのは財務省のこと。当初、高市氏は国民民主の玉木雄一郎代表を財務大臣にするつもりだったのだろうが、国民民主との連立合意が不調になると、維新が大臣なしでも連立可能となった。そこで、玉木氏より財務省にとってイヤな片山さつき氏に白羽の矢が立ったのだろう。
補助金カット&積極財政の「ツートラック」
そして、片山財務省のほうで維新の主張する補助金カット、城内内閣府のほうで積極財政という「ツートラック」でいくのではないか。城内内閣府には、尾崎・佐藤という高市首相側近の官房副長官が付いていて、キレイな高市首相以下のラインができている。
早速トランプ訪日をひかえ防衛費増が問題になっている。片山財務省ラインを使えば歳出カットで賄うが、城内内閣府ラインであれば防衛国債になる。歳出カットでも歳出増なので緊縮でなく、また、純債務に着目すれば防衛国債での防衛費増は純債務を悪化されない。果たして、高市政権はどのように対応するのだろか。どちらにしても防衛費増には対応できるが財政悪化にならないはずだ。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長 1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。