2025年11月11日の衆院予算委員会で、共産党・田村智子委員長と自民党・小泉進次郎防衛相が、長射程ミサイル配備などについて激論を交わした。その後、田村氏は記者の囲み取材に応じ、「(小泉氏は)聞いていることに答えず、聞いてないことをあれだけ長々と答弁されるというのは、質問者に対する妨害ですよ」と批判した。
長射程ミサイルの配備計画めぐり討論
この日、田村氏は約40分にわたり防衛政策について質問。このなかで、熊本市東区の陸上自衛隊健軍駐屯地に長射程ミサイルを配備する計画に言及した。地方紙・熊本日日新聞の世論調査を示し、「住民の多数が不安を抱き反対をしている」と高市早苗首相に訴えた。
その後、田村氏は駐屯地が住宅地の中心にあるとし、市民が不安を抱えるのは当然だと説明したうえで、配備計画に関する住民説明会を実施しないことについて、小泉氏に「あまりにもひどい対応だ」と批判した。
これに対し小泉氏は「あたかも日本が自制が効かず、我々が軍備を増強しているというレッテルを貼るようなことは、基本的な認識として違うと思う」と反論。「中国は不透明な軍備増強を続けているし、国防費を継続的に高い水準で増加させている」などと安全保障環境の変化を説明し、防衛省は熊本県・熊本市に適切な情報提供に努めると述べた。
すると、田村氏は「いや、質問に答えてないんですよ」と指摘し、住民説明会を実施しないことを改めて質問。これを受け小泉氏は、九州防衛局に問い合わせ窓口を設置し、ウェブサイトにQ&Aを掲載して積極的な発信を行っているとした上で、「現時点において住民説明会を実施する予定はない」と述べた。
その後、田村氏は、そのほかの長射程ミサイルの配備計画や、弾薬庫の新設計画を記載したパネルを示し、「軍事対軍事、ミサイル対ミサイルの悪循環、軍事的緊張を高めていってどうしてその先に平和があるのか。むしろ、なにかのアクシデントから武力衝突が起こりかねない」と訴えた。
これに対し小泉氏は、「しっかりと説明をさせていただくことが大事なこと」とし、九州防衛局の問い合わせ窓口などの情報発信を行っていると説明。また、「先ほどから、まるで日本が自制が効かず、軍拡を進めているかのような前提に立ってお話をずっとされているが、正直理解に苦しむ」とも反論した。
続けて小泉氏は、「危機を煽るのではなく、厳しくなっている安全保障環境に対し、適切な対応を進めているということだ」と主張し、「国民の皆さんにご理解いただけるように十分説明を続けたい」と述べた。
小泉氏の発言に対し、田村氏は、「軍事的緊張・安全保障環境を解決するのは外交しかないんですよ。外交しかないんですよ。そして、そのことをしっかりと説明もできない。これが今、明らかになったと思う」としている。