中国の薛剣(せつけん)駐大阪総領事が、2025年11月8日夜自身のX(旧ツイッター)で「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟は出来ているのか」とポストした。中国外務省報道官は擁護する発言をしている。今回の問題について、木原稔官房長官10日、「中国の在外公館の長の言論として極めて不適切だ」と述べ、中国側に「強く抗議するとともに、関連の投稿の速やかな削除を求めた」とした。野党も「外交官にあるまじき発言」「度を超している」自民党の小林鷹之政務調査会長は「自民党として看過できない。中国の適切な努力がなければ、ペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物として国外退去を求めること)を含めた対応を政府に求める」と、事態の深刻さを強調した。野党もこの総領事の暴言には反発している。公明党の斉藤鉄夫代表は「外交官にあるまじき発言」とし、立憲民主党の安住淳幹事長は記者会見で「日中関係に何らプラスにならない」、国民民主党の玉木雄一郎代表は「度を超している」と述べた。今回は外務省から東京の中国大使館に、北京にある日本大使館から現地の中国外交部にそれぞれ抗議したということのようだ。これは大使などの呼び出しではなく、ハイレベルでない電話での抗議と思われる。罵詈雑言を繰り返すだけの相手やり込めるのは「比較的容易」外務省は、従来の抗議方法に固執しているように筆者には思える。今やSNSの時代だ。外務省も相手のランクに応じてSNSで反論、抗議したらいい。専制国家が相手なら、高いランクの政府関係者はSNSが使えない。SNSでやり合っているのであれば外交の応酬なので、最悪の事態にまではいかない。専制国家の下級官吏が相手なら自由な発言は許容されていないので、実質的な中身には言及できずに罵詈雑言を繰り返すだけだ。そうした相手をやり込めるのは比較的容易だろう。政治的に責任が取れる政務官クラスの政治家が、例えば、「本国の指示で言わされているのか?」など遊びつつ、「テレビなどで議論しよう。もちろん中国でも放映してくれ」とでもしたら面白いだろう。情報統制が酷い中国には効くだろう。外交はヒートアップせずに相互主義でいこう。++高橋洋一プロフィール高橋洋一(たかはしよういち)元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。
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