なぜ那須川天心は負けたのか、識者が指摘する「公開採点の妙」...井上陣営は「考えていたファイトプランで押し切れた」

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   プロボクシングのWBC世界バンタム級王座決定戦が2025年11月24日、トヨタアリーナ東京で行われ、同級2位・井上拓真(大橋、29)が、同級1位・那須川天心(帝拳、27)を3-0の判定で破り王座を奪取した。

  • 世界王座を争った井上と那須川(写真:スポーツ報知/アフロ)
    世界王座を争った井上と那須川(写真:スポーツ報知/アフロ)
  • 世界王座を争った井上と那須川(写真:スポーツ報知/アフロ)

4回終了時点での採点は3ジャッジすべてが38-38

   試合は、那須川が立ち上がりにスピードを駆使して主導権を握った。3回から井上がプレスを強め距離を縮めていった。4回以降も井上が那須川を追いかける展開となった。

   井上は中盤戦を支配し、ポイントで劣勢に立った那須川は終盤、カウンターで応戦するも及ばず。勝負は判定までもつれ、3-0で井上が勝利した。2人のジャッジが4ポイント差、残りの1人が6ポイント差で井上を支持した。

   那須川はボクシング転向後、8戦目にして初黒星を喫した。

   元キックボクシングの「神童」が臨んだ初のボクシング世界タイトルマッチ。プロモーターとして多くの世界王者を育てたTMKジムの金平桂一郎会長(60)は、「今回、公開採点が採用されましたが、これがひとつのポイントだったと感じます。公開採点システムという、ルールの妙を感じました」との見解を示し、タイトル戦を独自の視点で分析した。

   今回のタイトルマッチでは、公開採点が採用された。4回と8回の終了時に、それぞれ採点が公開されるルールだ。

   4回終了時点での採点は、3ジャッジすべてが38-38の同点。8回終了時点では、2人のジャッジが、それぞれ77-75、78-74で井上を支持し、残る1人は76-76の同点とした。

「もし、公開採点ではなかったとしたら違う展開も」

   金平会長は今回の公開採点について、「井上陣営にとってはいい方に出た」と指摘し、その理由を説明した。

   「1、2ラウンドが明らかに那須川選手で、3ラウンドが微妙で、4ラウンドは拓真選手。井上陣営は『このまま追いかけて行けば、今日のジャッジはポイントを付けてくれる』となり、考えていたファイトプランで押し切れることが分かった。那須川選手は『ポイントが来ないんだ』となる。陣営も『あれっ?』と思う。拓真選手はすごく手応えを感じたと思います。5ラウンド以降は、拓真選手が勢い付き、そのまま行ってしまった」

   そして、こう続けた。

   「もし、公開採点ではなかったとしたら、もうちょっと違う展開がありえたかもしれません。那須川選手はもっと徹底的にアウトボクシングをしたと思います。5ラウンド以降、拓真選手に『お付き合い』する場面があり、そこでパンチをもらってしまい『どうしよう』となったと思います。このように、流れを持っていかれてしまった場合、キャリアで劣る選手が流れを引き戻すのは難しい」

   スポーツ紙の報道によると、那須川は試合後、「初めて負けて悔しい気持ちもたくさんあるが、これを受け止めて前を向いて堂々と生きていきます」と再起を誓ったという。

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