元TOKIO・国分太一氏の2025年11月26日の会見に対して同情的な意見もある一方、「答え合わせしようとするのは独りよがり」「自分本位に見える」「復帰志向が強い」といった批判もある。だが、その批評の前提となっている局の対応そのものに根本矛盾がないか。日テレに「答え合わせ」を切実に訴えたが被害者保護とプライバシー保護は企業として重要な判断である。ただ、日テレの対応は、国分氏のコンプラ違反の具体的内容を一切公表しないまま、『ザ!鉄腕!DASH!!』のオリジナルメンバーである国分氏を降板させた。他方、番組継続は決断している。本当にコンプライアンスが最優先なら、番組継続もセットで検討すべきではなかったか。被害者保護という大義名分が、スポンサー契約と経営判断を優先するための口実になっていないか。放送局としてコンプラ違反に対応する企業側の厳しさは理解できる。ただし、実際にテレビ番組の制作現場に従事したさる関係者からは、次のような声が聞かれた。「不要なディレクターを有無を言わさず解雇。その説明の際にはプロデューサー以下が取り囲み詰める。冷酷そのもの」。そして、「看板メンバーを切ってまで続ける『DASH』は、もはやスポンサーとの付き合いや体面しか考えてない」と。日テレが具体的な理由を説明しなければ、国分氏が反論できる状況そのものが存在しない。だからこそ、「答え合わせ」を求めているのだ。国分氏の会見によると、6月の聴取は「制作局長から『担当者が代わるので挨拶がしたい』と呼ばれた」ことから始まった。単なる挨拶のための呼び出しだと思って日テレに向かった国分氏は、その場でコンプラ担当弁護士からいきなり聴取を受け、降板を告げられた。これではおびき寄せのための口実ではないか。たしかに法的にはこの日テレの対応に問題はないかもしれないが、法的正当性と説明責任は別。被害者保護は理解できるが、それでもオリジナルメンバーを降板させながら番組は継続し、説明責任は放棄する。その判断の陰で経営優先が貫徹されていないか。真のコンプライアンス遵守とは、被害者を守りながらも加害者側にも説明責任を果たすことではないだろうか。(川瀬孝雄)
記事に戻る