ウエスタン・リーグに参加するプロ野球チーム「くふうハヤテベンチャーズ静岡」(静岡市)が、球団ネーミングライツ・パートナーである、くふうカンパニーホールディングス(HD、東京都港区)と対立している。球団側は、くふうカンパニーHDによるネーミングライツ料の不払いを、くふうカンパニーHDは球団によるネーミングライツの「重要な一部契約不履行」を主張している状況だ。
「夢を信じて新たな球団に集まった若者の挑戦を阻害する行為」
くふうカンパニーHDは2025年11月28日、「ネーミングライツの重要な一部契約不履行」があったとして、球団を運営するハヤテ223に対し抗議し、「契約不履行の解消」を求めて協議をしてきたが、合意に至らなかったと報告。そのため、くふうカンパニーHDはハヤテ223 に対し、「資本業務提携契約書の解除を通知いたしました」と発表した。
また、この件による業務への影響は精査中だとしつつ、「取得している相手方の株式の帳簿価格は軽微であります」とも伝えた。
これを受け、球団は30日に公式サイトに声明を発表。「当社に債務不履行は存在せず、当社は本契約を適切に全うしております」と反論した。
一方で、くふうカンパニーHDからネーミングライツ料の支払いを受けていないと訴え、「球団名が維持された状態をシーズンを通じてご提供した後に、左記不払いのまま一方的な本契約解除の告知を受けたことに困惑しております」とした。
さらに、「このような不払いを含む一連の事態は、夢を信じて新たな球団に集まった若者の挑戦を阻害する行為であり、悲しみを禁じえません」と、くふうカンパニーHDを非難した。
くふうカンパニーHDは「ネーミングライツの債務不履行そのもの」訴え
12月1日にくふうカンパニーHDは公式サイトで、「一部契約不履行」の具体的な内容について、「主な点はユニフォームの胸や帽子、看板、旗などに表示される球団マークにおける表記です」と明らかにした。
同社はネーミングライツの契約内容について、「球団名である『くふうハヤテ ベンチャーズ』を当社が定められる権利であり、略称である『くふうハヤテ』、愛称の『ベンチャーズ』の利用について合意しておりました」と説明。しかし、使用されたユニフォームや帽子、看板などの使われたロゴマークについて、
「ここで定められた球団名とも愛称とも無関係の、自ら運営する投資ファンドの名称である『HAYATE』か、この『HAYATE』から採用された『H』であり、『くふうハヤテ』或いは『ベンチャーズ』という表記は一切利用されませんでした」
と説明した。
球団側のこの行為について、「従来の野球界の通例では考えられないことであり、ネーミングライツの債務不履行そのもの」「球団とは無関係である自らの投資ファンド名を使うことで私的流用を行なっているとみなさざるを得ません」と訴えた。
さらに、球団側がくふうカンパニーHDに対し「球団に集まった若者の挑戦を阻害する行為」をしたと非難したことに対し、「債務不履行、私的流用を行なっていることこそが『球団に集まった若者の挑戦を阻害』するものです」と反論した。
J-CASTニュースが12月1日にくふうカンパニーHDに取材を申し込んだところ、「お相手方もおられる話しですので、詳細についてはお答えしかねますが、開示しております内容につきまして、お答えできる範囲で、弊社の見解を以下の通りHPに掲載をいたしました」と回答した。
また、球団にも、ユニフォーム等に「くふうハヤテ」や「ベンチャーズ」の表記をしなった理由やくふうカンパニーHDの発表に対する見解などについて取材を申し込んだが、「現在、お伝えできることはプレスリリース・HPにて発表させていただいた内容のみでございます」として、回答はできかねるとした。