物価高で節約志向、ドラッグストアに集まる消費者
なぜ、ドラッグストアで食品が売れるのか。その背景には、物価高騰に苦しむ消費者の節約志向の高まりがある。デロイトトーマツ グループが7月に発表した2025年度「国内消費者意識・購買行動調査」によれば、食料品の支出が増えたと答えた人のうち67.4%が、その理由として「物価高」を挙げている。
また、業界のビジネスモデルも背景の1つだと考えられる。ドラッグストア各社は食品を低粗利で販売し、集客の武器としている。業界最大手ウエルシアHDの25年2月期決算資料によれば、食品の粗利率は18.5%であり、医薬品・衛生介護品・ベビー用品・健康食品(40.8%)や化粧品(33.2%)に比べて大幅に低い。「食品で集客し、医薬品を買わせる」というモデルが、価格に敏感な消費者を引き寄せているとみられる。
加えて利便性の高さも見逃せない。ドラッグストアは住宅街に近く、駐車場を備えている店舗も少なくない。食品だけでなく、洗剤やティッシュ、子どものおむつまで一度に買える。この「ワンストップショッピング」の魅力が、忙しい子育て世代を中心に支持を集めている。
前出・デロイトトーマツ グループの調査によれば、約6割の消費者が食料品については「少しでも価格が高ければ購入しない」と回答。これは、前年の調査より上昇している。こうした節約志向の高まりが、食品の粗利率を抑えたドラッグストアへと消費者を向かわせている可能性がある。