「ついで買い」の連鎖が売上を押し上げる
ドラッグストア各社の戦略は興味深い。食品を「集客の武器」と位置づけ、低価格で販売する。その代わり、店内に入った客に利益率の高い医薬品や化粧品を買ってもらう――。このビジネスモデルが成果を上げているようにみえる。
店舗数は拡大が続き、全国で2万店を超えて、いまやドラッグストアがない地域を探すほうが難しく、「生活インフラ」としての地位を固めつつある。
この変化は小売業界全体に影響を与えている。特に食品スーパーにとっては、主力商品である食品で新たな競合相手が現れたことになる。
コンビニエンスストアも対応を迫られている。価格競争では不利なため、弁当や総菜といった「中食」や、淹れたてコーヒーや店内調理品などの出来立てをアピールする商品で差別化を図る動きが出ている。
消費者にとっては選択肢が増えるのは、歓迎すべき状況だ。一方で小売各社にとっては、業態の垣根を超えた競争が本格化しつつあることを意味する。スーパーは品揃えと鮮度で、コンビニは利便性で、それぞれの強みを再定義する時期に来ている。
物価高という環境変化の中で、ドラッグストアは新たなポジションを築きつつある。