100円ショップ、リユース店...物価高で高まる存在感 損しない買い方、どんな使い分け方がいいか

   物価が上がり、日々の買い物で出費を抑えたいという考えが、以前より強まっている。こうした中で、100円ショップとリユースショップの利用が広がり、生活の中での役割が大きくなっている。必要なものを手頃な価格でそろえやすく、お店に入りやすい点が幅広い層の利用につながっている。

   節約を意識する行動が定着しつつあり、各社の売上が伸びていることから、この流れは一時的なものではなく、実際の暮らしの中に今後も根付くかもしれない。FP(ファイナンシャル・プランナー)の視点を踏まえつつ、物価高の影響について整理する。

  • ダイソーが好調だ
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  • セカンドストリートも勢いがある
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100円ショップの利用が広がる理由、各社の特徴は

   100円ショップは、品ぞろえの多さ、店内の見やすさ、買い物のしやすさが魅力で、幅広い年代に浸透している。

   業界最大手のダイソーは、2025年2月期の売上高が前期比8%増の6765億円となり、過去最高を更新した。最近は300円や500円の商品も増えて、見た目や使い心地を重視した品が増加したことで、選択肢が以前より広がった。安さだけではなく、日常生活で使い続けやすい点が評価されている。

   また、キャンドゥやワッツも売上を伸ばしており、地域の駅前や住宅街など、小さな店舗を増やしていることも利便性につながっている。店自体が生活圏に近くなったことで、必要なときに短時間で買える環境が整い、日常的に立ち寄りやすくなった。

   他社チェーンが100円以外の商品も拡充させるなかで、価格を100円に統一する姿勢を守っているのがセリアだ。統一価格による分かりやすさがあり、店内は明るく、食器や収納用品など、見た目の良い商品が多い。価格帯を広げずとも支持が続いている背景には、買うものを短い時間で選びやすいという特徴がある。

   各社とも売上が伸びている点からも、100円ショップが日常の買い物の選択肢として、根付いていることがわかる。

リユース市場の拡大と店舗購入を選ぶ動き

   中古品を扱うリユースショップも利用が増えている。

   たとえば、セカンドストリートは国内で900店舗超を展開し、衣類だけでなく、家具や家電まで幅広い品を取り扱う。状態が良い商品を、新品より手頃な価格で買える点が大きな強みである。店頭で実際に手に取って確認できる安心感が、利用を後押ししている。米国でも店舗数と売上が伸びており、中古品を選ぶ行動が国内外で広がっている。

   フリマアプリのように個人同士で取引するサービスは、便利な反面、説明と違う品が届いたり、連絡に時間がかかったりといった問題が起きることがある。こうした点を避けたいと考える人が、店舗での購入へ流れる傾向がある。

   家電のように状態の差が大きい商品は、店頭で確認できるメリットは大きい。地域掲示板サービスのジモティーもリアル店舗業態「ジモティースポット」の展開を進め、ブランド品を扱うコメ兵などの専門店も成長している。

   中古品を買う動きが、自然な選択肢として広がっている。中古利用が「節約のため」だけでなく、「必要なものを必要な分だけそろえる方法」として、受け入れられつつある点も、広がりを支える背景だ。

利用が増える背景と家計に生かすポイント

   節約を進めるには、必要なものを決めて買う姿勢が欠かせない。消耗品や試したい商品は100円ショップが合いやすく、長く使う道具や家電は、状態を確認しながらリユース店で選ぶと無駄が出にくい。保証や返品の条件を確認することも、安心につながる。

   こうした使い分けが必要になる背景には、物価が上がっても所得の伸びが追いつきにくい状況がある。日々の支出は積み重なるため、どこで価格を抑えて、どこにお金をかけるかを選ぶ力が大切になる。

   買い物のたびに、細かな判断を繰り返すのは負担になりやすいが、100円ショップとリユース店をどう使い分けるかが決まっていれば、迷う時間が減り、支出のぶれも小さくなる。

   FPの視点として、家計管理が続きにくい理由の多くは「判断の基準がないこと」にあるため、こうした店舗ごとの役割を決めておくことが、支出を整えるうえで、実際に効果が出やすいといえる。



【プロフィール】
石坂貴史/証券会社IFA、AFP、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、マネーシップス運営代表者。「金融・経済、住まい、保険、相続、税制」のFP分野が専門。

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