立憲・泉健太前代表、枝野氏発言引用し「原発建て替え」に理解 「原発ゼロ社会」との整合性問う声も

   立憲民主党・泉健太前代表が2025年12月20日にXで、老朽化した原子力発電所のリプレース(建て替え)を支持する考えを示した。だがSNS上では、原発の稼働や建て替えに反対する層などから、同党が政策で掲げる「原発ゼロ社会」と矛盾するのではないか、といった批判が寄せられている。

  • 立憲民主党の泉健太前代表(2021年撮影)
    立憲民主党の泉健太前代表(2021年撮影)
  • 泉健太氏のXより(@izmkenta/一部加工)
    泉健太氏のXより(@izmkenta/一部加工)
  • 立憲民主党の泉健太前代表(2021年撮影)
  • 泉健太氏のXより(@izmkenta/一部加工)

「再エネの進捗度合いによって、原発は今後も必要」

   波紋を広げているのは、泉氏による20日のX投稿だ。これは、枝野幸男元代表が原発のリプレースに一定の理解を示したという共同通信の報道に言及したものだった。「枝野氏、原発建て替え理解 『最新鋭なら安全性高い』」という見出しを紹介し、こう記した。

「この枝野発言、全立憲支持者に知ってもらいたい。再エネの進捗度合いによって、原発は今後も必要。その時に古い原発のままより、建替えで安全性を向上させる。これは当然のこと」

   この投稿は22日17時時点で100万回以上表示されるなど注目を集め、原発建て替えに反対する層などから批判の声が上がった。それらの中には、立憲が掲げる政策との整合性を問う声もみられた。

   立憲の公式サイトには、(1)原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現する(2)原発の新設・増設は行わず、全ての原発の速やかな停止と廃炉決定を目指す――という趣旨の記載がある。

   泉氏の投稿に対し、「建て替えれば数十年は運用することになります」「今までの主張はどこ行った?」「原発ゼロはなんだった?」「建て替えが必要になるタイミングで廃炉にしないでいつ『原発ゼロ社会』が進むんだよ」などの声が寄せられている。

   党内からも異論が出ている。滝沢やすこ江戸川区議会議員は21日、泉氏の投稿にXで反応。「原発を立地地域から考えるか、消費地域から考えるか」と問いかけ、「私は自分が電力消費地にいる立場をふまえ、立憲民主党の綱領『あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します』を守りたいです」とのスタンスを示した。

   石垣のりこ参院議員の後援会のアカウントも同日、泉氏のポストを引用し、

「原発に反対です。立憲民主党の綱領に『原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。』とあります」

と指摘した。

自民議員は「(立憲どうした)」

   与党では意外に受け止める向きもあるようだ。自民党・滝波宏文参院議員も20日、泉氏の投稿の引用リポストし、「泉健太元代表も、最新型原子力リプレースに理解(立憲どうした)」と言及。別の投稿でも、枝野氏の記事を受けて、「うちの最新型原子力リプレース議連(現 立地に寄り添うエネ政策推進議連)と、同じ事を言うようになったのですね」と反応していた。

   なお枝野氏は21日にXで、同様の内容を報じた産経新聞の記事を受け、原発建て替えに関する発言の意図を説明。「昨日の原子力関連の発言は、短期、あるいはせいぜい中期的な時間軸での話です。長期的目標については触れていませんし、変わらないことが前提で、綱領に示した将来目標とは無関係・別次元です」としている。

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