BS11の報道番組「報道ライブ インサイドOUT」は2025年12月25日の放送で、各曜日の5人のキャスターが「2025年の印象に残った瞬間」を特集した。太田昌克キャスター(共同通信編集委員・論説委員)は、日中の関係修復はかなり難しいという見通しを解説した。
習近平氏はトランプ氏と渡り合っていける自信をつけた?
太田氏は、「私は、おそらく習近平体制は日本に対する戦略的な思考様式を、この秋、10月に変えたと思います。それがちょうど高市政権に移ったときに重なるんですけども」と、中国政府内での日本の位置づけが石破政権時代までとは違うと指摘した。
中国はトランプ大統領との米中首脳会談で優位に立ち、
「習近平氏はトランプ氏と渡り合っていける、(重要なのは)2026年4月のビッグディール(トランプ訪中)だっていう自信をつけたんで、もう(対米カードの日本という)保険は必要なしという考えになっている」
と太田氏は見る。「そういう考えに傾いているときに、運の悪いことかもしれませんが、台湾有事発言が総理の口から飛び出した」ので、「かなりの時間が日中修復にかかると思います」と悲観的だ。
独自のパイプがあった時代は終わった
中国にとって、貿易面からも日本の存在は小さくなってきていると、加谷珪一キャスター(経済評論家)がこんな説明をした。
「中国の貿易相手国というのは、実はね、(日本は)ベトナムとか韓国と同程度しかないんですよ。数字から見ると、中国は日本がなくてもやっていける環境だと、私には見えますけど」
と、中国側には日本との関係修復を急がなくてはならない理由はないというのだ。
上野愛奈アナが「水面下のパイプということをよく聞くんですけど(ないのでしょうか)」と聞く。太田氏は、
「野中(広務)さん、二階(俊博)さんがおられたという、独自のパイプがあった時代は終わっちゃってますね。石破(茂前首相)さんにお会いした時に、『北京に行ったらどうですか。特使外交で』と申し上げました」
と、にやりと笑った。
報道されているように、中国側は政界ではなく、日本の経済界が動くのを待っているのではないか。
(シニアエディター 関口一喜)