井上尚弥VS中谷潤人、両者の差はどこまで縮まるのか 識者が指摘した「井上の懸念材料」...前哨戦は「明暗」分かれる

   プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、32)が、2026年5月に東京ドームで世界3階級制覇王者・中谷潤人(M・T、27)と対戦する。

  • 5月に対戦する井上(右)と中谷(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
    5月に対戦する井上(右)と中谷(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
  • 5月に対戦する井上(右)と中谷(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

「井上はリング上で疲労の色が見えました」

   井上、中谷ともに25年12月27日に、サウジアラビア・リヤドで試合を行い、それぞれ判定勝利を収めた。

   世界王座の防衛戦となった井上は、挑戦者アラン・ピカソ(メキシコ、25)を寄せ付けず3-0の判定で完勝。3人のジャッジが、それぞれ120-108、119-109、117-111で井上を支持した。

   一方の中谷は、WBC世界スーパーバンタム級10位セバスチャン・エルナンデス(メキシコ、25)を相手に3-0の判定勝利を飾った。採点はジャッジ2人が115-113、残り1人が118-110で中谷を支持。苦戦を強いられながらも井上との前哨戦を制した。

   無敗の挑戦者に快勝した井上。スーパーバンタム級転向第1戦となった中谷は、2人のジャッジが2ポイント差をつける接戦で、ノンタイトル戦をクリアした。

   26年5月の大一番に向けての前哨戦で「明暗」が分かれた井上と中谷。決戦まで両者の差はどこまで縮まるのか。J-CASTニュースでは、多くの世界タイトル戦をプロモートしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(60)に分析してもらった。

   金平会長は27日の両者の試合について、「2人が勝つのは予定通りでした」とし、それぞれの試合について言及した。

   「井上選手に関しては、ピカソ選手をノックアウトするだろうと思われていたが、ピカソ選手が粘って判定勝利。井上選手は、相変わらず素晴らしいボクシングをして、ピカソ選手にほぼ完勝したが、疲れが溜まっているように見えた。パフォーマンスは全く落ちていないように見えるし、スピードも力感もあるが、本人が『少し疲れを感じた』と言っていたように、リング上で疲労の色が見えました」

井上優位だが「5月の試合でひっくり返る要素はある」

   そして、中谷選手に関しては「想定外の苦戦をした。想像以上に被弾が多かった。これには、スーパーバンタム級にアジャストできていないのではないかという意見もあり、私もそうかもしれないと思う。5月の井上戦まで4か月とちょっと。ここまでにスーパーバンタム級の体を作らければならない。この時点でどちらが上かといえば、井上選手。その差は詰まっていない」との見解を示した。

   井上優位は動かないとする金平会長は、一方で「5月の試合でひっくり返る要素はある」とも指摘し、こう解説した。

   「それは、井上選手の疲労の部分と、中谷選手のアジャストの部分。井上選手は疲れが溜まっているように見える。世界王者が、年間4試合をすることによるリスクは、体が疲れ切ってしまうこと。中谷戦は、井上選手のコンディショニングが心配。技術的なことや、アジャスト具合をみると、今の時点で中谷選手が井上選手に勝つというのは、なかなか難しいが、分からないのは井上選手のコンディショニングの部分」

   「井上対中谷」戦が実現すれば、日本ボクシング史上最大のイベントとなる。井上にとって2度目となる東京ドームでのリング。一方の中谷にとっては、「モンスター」超えを世界にアピールする絶好の機会となる。

   金平会長は、ドリームマッチに向け「井上選手にとって、いかに疲労を抜くかがテーマになる。5月まで時間があるようでない。中谷選手は居直って『当たって砕けろ』ぐらいの気持ちでいけばいいと思います。5月の試合は、お互いのコンディション。井上選手、中谷選手ともに、モチベーションは非常に高いと思いますので、どれだけのコンディションを作れるかにかかっていると思います」と語った。

   井上の戦績は32戦全勝(27KO)。中谷は32戦全勝(24KO)。

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