東京都杉並区が2026年2月9日に公式サイトを更新し、8日に投開票された衆院選の投票所で「選挙人名簿に登録されていない方に誤って投票用紙を交付し、投票させた事案が発生しました」と発表した。取材では、対象人数は1人だとして詳しい経緯を明かした。
有権者が投票するには、各市区町村の選挙管理委員会が管理する名簿「選挙人名簿」に登録されている必要がある。
「選挙権に関わる重大な事案」選挙管理委員会がお詫び
杉並区は公式サイトで「選挙人名簿未登録者への投票用紙の誤交付について」と題したお知らせを掲出し、
「本件は、選挙のお知らせ(投票所入場整理券)を持参されなかった方について、本人と名簿抄本との突合が適切に行われなかったことにより、選挙人名簿に登載がないことに気づかないまま誤って投票用紙を交付し、投票が行われたものです。なお、この投票用紙は投票箱に投函されており、当該選挙人の投票を特定できないことから有効票として取り扱われます」
と説明している。さらに、「選挙権に関わる重大な事案であると認識しており、杉並区選挙管理委員会として深くお詫び申し上げます。今後、このような事案が生じないよう、再発防止を徹底してまいります」と陳謝した。
区の選挙管理委員会事務局は9日にJ-CASTニュースの取材に応じ、誤交付の対象人数は1人だと明らかにした。誤交付を受けたAさんは、杉並区での住民票登録期間が満たないため、選挙人名簿に登録されていなかった人物だという。
総務省の公式サイトによると、選挙人名簿に登録されるのは、住民票がつくられた日から引き続き3か月以上、その市区町村の住民基本台帳に記録されている人。他の市区町村からの転入者は転入届をした日から数えるとされている。
本人確認で住所しか見ず、「全く他人」の情報で交付
なぜ誤交付が生じたのか。事務局の説明によると、Aさんは投票所で入場整理券が手元にないとして、再交付するにあたり、選挙の事務従事者がAさんの運転免許証で本人確認しようとした。その際、本来なら住所・名前・生年月日などを紙ベースの選挙人名簿と照合して本人を特定するはずが、「住所のところしか見ていなかった」という。
免許証の住所は区内ではあったものの、「マンション名の部屋番号ですとか、そこまでちゃんとチェックに至らずに、アパート名とかマンション名のところの確認までしか取れていなかった」とも説明した。
照合が不完全な一方、「この人だ」と誤認して、第3者の住所・名前を再交付用の整理券に記載。これが原因で、次のフローで券面の情報をパソコン上の表示と照合されながらも第3者本人とみなされて投票用紙の交付を受け、Aさんは投票を済ませたというわけだ。
その後にAさんの家族が投票所に来るも、家族は名簿抄本に登録がなく、杉並区で投票できないと判明。家族は改めてAさんを投票所に連れて、Aさんに再交付した入場整理券を確認した結果、「全く他人の名前・住所を記載したものを、あたかもその方ということで交付してしまった」として、今回の発覚につながったとしている。