2026年1月30日、国土交通省が発表した2025年の新設住宅着工戸数は、前年比6.5%減の74万667戸だった。3年連続の減少で、しかも1963年以来62年ぶりの低水準に至った。
住宅産業研究所の見解によると、主な要因は25年4月に施行された4号特例の対象範囲の縮小だという。4号特例とは、特定の小規模建築物に対して建築確認申請の一部審査を省略できる制度。適用縮小に備えた3月までの駆け込み需要の反動が、4月以降に及んだのである。
着工数が減少した要因には、住宅価格の高騰も挙げられよう。東京カンテイの調査によると、25年4月 首都圏の新築一戸建て平均価格は前月比0.9%の4806万円。東京都では14年4月の集計開始以降初の 6000万円台に達した。
さらに、実質賃金のマイナスや住宅ローン金利の上昇も加わって、住宅販売の環境が厳しい市況でも、業績が好調に推移する住宅メーカーがある。
オープンハウスG、26年9月期は10%以上の増収減益見込む
ローコスト住宅メーカーの大手、オープンハウスグループ(G)の25年9月通期の売上高は前年度比3.1%増の1兆3364億円、営業利益は22.5%増の1459億円、当期純利益は8.3%増の1006億円だった。
同社の事業展開エリアにおける戸建て住宅の需要回復や、前年度に実施した在庫の入れ替えによる利益率の改善、さらにプレサンスコーポレーションと手掛ける米国での不動産事業も営業利益が伸長した。
オープンハウスGのビジネスモデルは、仕入れ、建設、販売を自社で一貫して行う「製販一体」である。高価格な土地の仕入れでもリスクを抑えられるため、都市部でドミナント戦略を展開する上で競争力があるという。
26年9月期は、売上高1兆4850億円、営業利益1700億円、当期純利益1120億円を計画し、それぞれ前期比10%以上の増収増益を見込んでいる。
タマホーム、業績不振要因に営業人員不足の影響
その一方で、同じ大手ローコスト住宅メーカーでも、対照的なのがタマホームだ。26年5月通期の業績予想を下方修正した。連結での売上高を前回発表予想の2350億円から11.1%減の2090億円、営業利益を93億円から49.5%減の47億円、当期純利益を60億円から77.5%減の13億に修正したのである。
タマホームによると、住宅価格上昇の長期化と金利上昇懸念にともなう顧客のマインド低下や、25年9~10月における住宅展示場来場者数の減少、さらに営業人員不足の影響で受注実績が想定を下回った。引渡棟数の遅延も響いた。引渡棟数が期首受注残高からの売上減少分を補填するに至らず、計画棟数の確保が困難な見通しとなったのである。
下方修正と同時に中期経営計画も修正した。26年5月期の当初計画は売上高3200億円、営業利益200億円(営業利益率6.2%)、当期純利益120億円だったが、それぞれ2300億円、90億円(3.9%)、60億円に修正した。
タマホームが1月16日に開いた第2四半期決算説明会では、下方修正の要因について質問が相次いだ。まず質問にあがったのは営業人員不足で、内容は「人員の採用は予定どおり進んでいるのか。今回発表された修正後の計画には採用活動の影響が考慮されているのか」。会社側の回答は「営業採用は予定通りに進んでいない。修正計画にも影響を考慮している」と人員補充に目途が立っていないことが分かった。
また、「戸建分譲の引渡について、特殊な事情や法規制により申請が延びた等の影響はあるのか」という質問に対する回答は「法規制の変更にともなう建築確認申請期間は、当初の見込より若干延びている」だった。
一方、タマホームをめぐっては、レピュテーションリスクの存在もあるだろうか。
25年1月21日、経済産業省は、全国の中小企業を対象に実施した取引状況の調査結果(回答・約5万1000社)を発表した。この調査は24年9~11月に実施され、主な発注企業との(1)価格交渉・価格転嫁の実施状況、(2)労務費についての価格交渉の状況、(3)価格転嫁に関する発注企業による説明の状況、(4)該当取引における自社の取引階層と価格転嫁の実施状況――などについて点数化して4段階で評価した。その結果、タマホームは半年前の24年3月の調査に続いて最低評価を受け、社名も公表された。
もっとも、タマホームは2度目の調査に先立つ24年5月31日付けで発表した「パートナーシップ構築宣言」のなかで、「取引対価の決定に当たっては、下請事業者と少なくとも年に1回以上の協議を行うとともに、下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における労働条件の改善が可能となるよう、十分に協議して決定します。その際、『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』に掲げられた行動を適切にとった上で決定します」と記している。この宣言の遵守を社内に行きわたらせることも業績回復のポイントといえよう。