高市首相肝いり「国民会議」にブーメラン 削除コラム問題再燃、14年前に「なぜ密室で結論を」

   高市早苗首相が看板政策として掲げる消費税の減税を巡り、議論の場として設置した「社会保障国民会議」に、早くも疑問の声が相次いでいる。「国民会議」という名称に反した閉鎖的な実態に加え、全削除が騒動になった過去のコラム内容が、またしても自らに「ブーメラン」として突き刺さる事態が起きている。

  • 記者会見する高市早苗首相。削除したコラムが問題になっている
    記者会見する高市早苗首相。削除したコラムが問題になっている
  • 削除された高市首相のコラム。増税の議論について「何故、開かれた国会の場で議論をせずに」などと訴えていた(アーカイブより)
    削除された高市首相のコラム。増税の議論について「何故、開かれた国会の場で議論をせずに」などと訴えていた(アーカイブより)
  • 記者会見する高市早苗首相。削除したコラムが問題になっている
  • 削除された高市首相のコラム。増税の議論について「何故、開かれた国会の場で議論をせずに」などと訴えていた(アーカイブより)

参加した野党はチームみらいだけ、会議は非公開に

   2026年2月8日投開票の衆院選では「消費減税は私の悲願」と訴え、自民党の歴史的な大勝利を飾った高市首相。2月26日に首相官邸で「社会保障国民会議」の初会合を開いた。2年間限定の食料品消費税率ゼロと給付付き税額控除の議論を進めたい考えだ。

   だが、スタートから「看板倒れ」とのブーイングが相次いでいる。野党からの参加はチームみらいだけ。他にも衆院選で同様に消費税減税を訴えていた中道改革連合や国民民主党にも条件付きで参加を呼びかけたが、両党は会議の運営方針や透明性に課題があるとして初回会合は参加を見送りに。消費税そのものを廃止すべきだと主張する参政党や共産党など、自民党と主張が異なる少数野党は声をかけずに事実上「排除」の扱いだった。

   さらに会議への不信感に拍車をかけたのが、自民党の小林鷹之政調会長による発言だった。2月27日の記者会見で「自由な意見交換に影響が出てくる」と述べ、会議の全面的な公開に慎重な姿勢を示したのだ。

   これに対して、有識者からの反発は強まる一方だ。社会学者の西田亮介氏はX(旧Twitter)で「政府の会議なのに、何でオープンにならないんでしょうかね」と疑問視。ジャーナリストの江川紹子氏もXで「議事録全面公開せず、『要旨』にとどめたら、開かれた場での議論を避けたいから、国会ではなく別組織を作ったのではないか、と思われますよ」と指摘し、国会軽視の姿勢を批判した。

繰り返される「ケストフエール」

   こうした批判が渦巻く中、SNS上で再燃しているのが、かつて高市首相本人が公式サイトに掲載していたコラムの内容だ。既に過去のコラムは全て削除されてしまったが、アーカイブサイトにはその記録が残っており、消費税を巡る14年前の発信内容が掘り返される結果となった。

   14年前の12年には、当時の与党だった民主党と野党だった自民党の間で消費税率10%への引き上げが議論されていた。同年1月、高市氏は自身のコラムで、この件に関する与野党協議について「何故、開かれた国会の場で議論をせずに、数名の議員しか参加できない与野党協議という『密室』で結論を出さなければならないのでしょうか」と厳しく批判していたのだ。

   コラムで高市氏は「与野党協議は、国会外の非公式会合であり、議事録すら残りません。またもや民主党内で賛否が分かれた挙句に『言った』『言わない』の議論に振り回されるのがオチです」とも指摘。徹底的に密室協議の無意味さを説いていた。

   14年前、消費税をめぐる民主党政権の対応を手厳しく批判した言葉が、同じ構図で自身が立ち上げた「国民会議」に突き刺さるという皮肉な結果に。またしても掘り返された過去の発信にSNS上で「壮大なブーメラン」「ダブスタっぷりがスゴい」と、あきれたような反応が殺到している。

   そもそもコラムの削除騒動は、消費税の減税を「悲願」とする発言をビジネス誌の検証で「真っ赤なウソ」と断じられたことが事の発端だった。SNSでは「この人の最大の敵は過去の自分か?」といった声が目立ち、その言動に対する信用が揺らいでいる。

   インターネット上では消すとかえって拡散される「ストライサンド効果」が鉄則とされる。これまで高い支持率を得てきた高市首相だが、消費税という国民生活に直結する課題に対し、過去の発信が、自らを窮地に追い込む可能性もある。

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