高裁は2026年3月27日、猟銃所持許可の取り消しをめぐる訴訟で、北海道猟友会砂川支部長のハンター・池上治男さんの訴えを認め、処分を適法とした二審判決を破棄する上告審判決を出した。池上さんの逆転勝訴だ。
SNSでは、判決後の会見で朝日新聞の記者からの質問に対する池上さんの回答に注目が集まっている。
「『共存』っていうのはまず無理」
池上さんは18年に砂川市からの要請でヒグマを駆除したが、北海道公安委員会は銃弾が周辺の民家に当たる恐れのある発砲だったと判断し、猟銃所持の許可を取り消した。
処分の取り消しを求めた訴訟では、一審は池上さん側が勝訴したが、二審の札幌高裁では逆転敗訴。最高裁では「処分は重すぎて妥当性を欠く」として、裁判官5人の全員一致で池上さんの逆転勝訴が確定した。
SNSでは、判決後に開かれた会見で朝日新聞の記者から寄せられた質問への、池上さんの回答に注目が集まっている。
男性記者は25年度のクマ被害が過去最多となったことを受け、「そもそも猟友会のハンターに依存していいのかという国内の野生動物管理に様々な課題はあると思うが、『クマとの共存』に向けて、今回の判決に抱く期待などはあるか」と問いかけた。
池上さんは「えっと、『クマとの共存』? あなた、クマと共存はできないよ」と一蹴。
「共存をどうお考えかっていう......」とした記者に、「『共栄』はなんぼかできるかもわからないけれど、『共存』っていうのはまず無理」とした。
「生きたまま食われるんだよ。腹から食われるよ」
「そこにクマが出た!(と騒ぎになる)。共存できないよ。それだけ危険だってことを(理解しなければ)」と語り、池上さんのもとには、たびたびクマの保護を訴える電話がかかってくるとも明かした。
「『人間75億いるから、人間の1人や2人、やられてもいいんだ』。こうやって、平気で私のところにクレームの電話が来るんですよ」
「もし本当にクマが可愛いんだったら、箱わなに入った熊を、頭を撫でに来いって。すると分かるから」と語り、「CNNも来ました、このクマ問題で。世界中が笑ってますよ。日本のヒグマ情勢については」と、海外と比べても異様な状況があると訴えた。
「人間が被害に遭うっていうのは、生きたまま食われるんだよ。腹から食われるよ。そして(食べた)あとは埋める。『土饅頭を作る』ってのは、その肉を後から食べにくるんだよ」
「あなたがそう思ってるわけじゃないだろうけど」
記者に向け、「あなたがそう思ってるわけじゃないだろうけど、『クマとの共存』っていうことを言ってしまったら、被害にあったご家族の方々がどういう思いをするかってことを考えなきゃダメだと思う」とした。
「クマと戦って助かる人はほとんどいませんから。ヒグマとだったら尚更そうだ。この天井まで(体高が)高いのがヒグマですよ。背、立ったらここまで行くんだよ」とクマの大きさに触れ、「そんな野生動物と共存するって安易なことを言ってたら、本当に人間、どこにも住めなくなっちゃうよね」とした。
池上さんはクマとの共存については「絶対に無理です」とした上で、「『共存する』ってことは、こういう風に置き換えたらいい。『山の自然を、正しい形に取り戻せ』」とも訴えた。
「鹿が多すぎてヒグマとかクマが増えてきた。そういう科学的な論拠を捉えた上で、自然の中でヒグマがどこに住んでいるか(調査・把握する)」
「北海道にヒグマがいなかったら困りますから。唯一の素晴らしい動物なんですよ」とした上で、「たまたま人間のコミュニティにヒグマが入ってきて、摩擦が起きる。摩擦が起きないってことは絶対ありませんから、『共存』っていうことはやっぱりちょっと違うかなという風に思いますね」と語った。