俳優の広瀬アリスさんが2026年3月22日、Xに持論を投稿した。その投稿では、「推しが結婚したら全力で涙流して喜ぶ」と書き出し、「充実してるからこそ仕事面で頑張れて輝く訳で我らはその輝いてるところを全力で拝むし全力で推すの」と続けた。さらに、「その輝いている部分以外の時も全て自分の都合の良いように自分の気分が悪くならないように生きてくれだなんてただの厄神」と、推しの私生活にまで自分の感情を押し付けるファンを「厄神」と断じ、「自分の推しは皆何はともあれ幸せであれ」と締めくくった。広瀬さん自身も芸能界で長くキャリアを積んできた立場として、応援される側の本音を代弁したかたちともいえる。「推しの幸せを喜べる自分でありたい」という理想と「喜べない自分を責めたくない」という本音この投稿に対し、賛否両論が巻き起こった。「正論」「推し活の理想形」と共感する声がある一方、「アイドルのビジネスモデルを理解していない」「推しに恋愛感情を持つことは否定できない」という反論も相次いだ。推しが誰と恋をしようが結婚しようが心が揺らぐことは一切ないというファンもいるだろうが、一方通行の恋にも似た感情が芽生えることもある。祝福すべきと頭ではわかっていても、心がついていかないファンは決して少数派ではないかもしれない。当然ながら、どれだけ応援しようとも推しは自分のものではない。一定の距離感を保つことが健全な「推し活」の前提ともいえる。どれだけグッズを買い、出演作品を追い、応援に熱を込めても、どこまでいっても混じり合わない平行線――それが推しとファンの関係の本質だ。しかし近年、男女を問わずアイドルが異性のファンと結婚するという事例――「推しと結婚」というケースが実際に起きている。そうした現実がある以上、「もしかしたら自分も」という「淡い期待」が生まれてしまうのか。裏切られたと勝手に思う気持ちも、人間の感情としては理解できなくはないが......。もっとも、議論が広がったことを察知したのか、広瀬さんは翌23日に「げ。ごめんね、それぞれ色々な思考あるもんね、発言気をつけます」と投稿。トーンを一段下げ、多様な感情の存在を認める姿勢を見せた。「推しの幸せを喜べる自分でありたい」という理想と、「喜べない自分を責めたくない」という本音――その間で揺れるファン心理は、正解のない問いである。推し活の倫理をめぐる議論は、まだしばらく続きそうだ。(川瀬孝雄)
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