日本企業の「横文字化」進む?新年度に相次ぐ社名変更 「初めの一歩としては良い」が...潜在リスクも

   新年度を迎える2026年4月1日に社名(商号)を変える日本企業が相次ぎ、Xで話題になっている。「横文字化」が進んでいるのではないかとの声も出たが、識者はどう見るか。

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  • 慶應義塾大学大学院経営管理研究科の清水勝彦教授(公式サイトより)
    慶應義塾大学大学院経営管理研究科の清水勝彦教授(公式サイトより)
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横文字化は「1つのきっかけ」、その後が重要

   4月1日に改称した日本企業では、上新電機→Joshin、ユアサ商事→YUASA、帝国電機製作所→TEIKOKU、情報技術開発→TDI、日本ガイシ→NGK、ぺんてる→アストラム、第一生命グループ→第一ライフグループ、サントリー食品インターナショナル→サントリービバレッジ&フード──などと、社名の全体または一部をアルファベットやカタカナ語に置き換えるケースが少なからず見られる。

   経営戦略や日本企業の国際化に詳しい慶應義塾大学大学院経営管理研究科・清水勝彦教授は3日にJ-CASTニュースの取材へ応じ、実際に横文字化が進んでいるかどうかは過去からのデータを検証していないため断定できないと前置きしたうえ、たまたま今回目立ったという可能性も指摘した。ただ、あくまで仮説として着眼点は面白いと受け止めた。

   一方、かねて国際化の中で海外の顧客・人材・投資家に向けて横文字にする流れはあるとみている。社名に限らず、過去には、ソニーの社長だった平井一夫氏が「KANDO(感動)」というパーパスを掲げ、V字回復を果たした事例もあった。

   では、社名を横文字にする影響はどれほどのものか。清水教授は、急に何かが起こるというよりは「これ自体は別に変えたというだけのこと」「スタートに過ぎない」とみる。例えば社名が横文字で国内大手だとしても、海外では知名度が低く、現地企業と人を取り合えば太刀打ちできないような話もあると説明した。

   改称を「1つのきっかけ」として、海外の顧客や投資家の獲得、人材採用を含め、どのようにブランドの認知向上につなげるか、どれだけ資源を投じて国際化を進めていくかといった観点こそが重要だとしている。

CIブームは「広告会社が儲かっただけ」、「他社がやってるから」安易な横文字化に注意

   国内への影響に関して、基本的に改称でユーザーが離れるリスクは考えにくいという。逆に、社名の長い合併企業などが散見される現状をめぐり、名前の持つブランド力や社内融和といった論点を踏まえた上でも「もう少し考えた方がいい」と述べた。18年に改称した「三菱UFJ銀行(旧・三菱東京UFJ銀行)」を例に挙げ、今では以前を知らない人の方が多くなったはずだとして、

「名前をコロコロ変えるのはあまり良くないが...顧客・人材・投資家に認知されやすい名前にするのは、それだけではダメですけど、初めの一歩としては良いこと」

と考えを伝えた。ただし、「コストがないわけではない。気軽に変えてみたいな話ではないはずなので、そこは要注意」とも。社名を変えれば看板の取り換えをはじめ、至るところで調整が生じるためだ。

   ここで連想されるのが、バブル期の80年代に企業が続々と社名やロゴなどを刷新した「CI(コーポレート・アイデンティティ)ブーム」。清水教授は「結局それ自体があまり何の結果もなく、良い会社は良くなり、悪い会社は悪かったので広告会社が儲かっただけ」との感触で、横文字化においても、安易に「他社がやってるから」といった口車に乗らないよう懸念した。

   コストを上回る価値を出す取り組みが求められるとし、「必ず変えたらポジティブということではない」「ちゃんとした理由や、その後のコミットメントがないと意味がない」「名前だけかっこよくても色々問題があるとか、全然業績が伸びないと、これも意味がない。経営者の自己満足になる可能性もある」と注意を促している。

   とはいえ企業のブランド作りは大事なことで、ブランドをどういう形で浸透させるかは、名前が密接に関係するとみている。今後、国際化やインバウンドを含む海外顧客について経営上考える必要があるような企業で横文字化は進みうると推測した。

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