新幹線の車内では、座席の使い方や物音をめぐって乗客同士のトラブルに発展することもある。長時間の移動となるため、わずかな行動が周囲のストレスにつながる場面もあるだろう。
都内に住む佐藤亜希さん(仮名・30代)は、東京発新大阪行きの新幹線に乗車した際、乗客同士の緊張感高まるトラブルに遭遇したという。
激しいタイピング音とリクライニングで張り詰めた空気に
ある月曜日の朝、仕事のため大阪へ向かう途中だった。
「車内は空いていて、静かに過ごせそうだと思っていました」
しかし、向かいの窓際席に座った中年男性がノートパソコンを開くと、状況が一変した。
「タイピングの音がかなり大きくて、とくに『エンターキー』を打つ音が響いていたんです」
気にしつつも、外の景色を見ながら気持ちを紛らわせていたのだが、品川駅で別の乗客が乗り込んできたことでさらに空気が変わった。
若い男性が「その男性」の前の席に座り、勢いよくリクライニングを倒したのだ。その衝撃で、後ろの男性のノートパソコンが揺れたという。
「その瞬間から、後ろの男性が明らかにイライラし始めました」
舌打ちをしたり、座席を蹴るような動きを見せたりと、苛立ちを隠さない状態だったようだ。前の若者も振り返り、不機嫌そうな様子を見せ、車内には張り詰めた空気が広がっていた。
「トラブルになるのではないかと思って、怖かったです」
「男性の表情が一気に変わりましたね」
緊張感が続く中、新横浜駅で思わぬ展開が待っていた。コーヒーを2つ手にした美女が乗り込み、そのまま後ろの男性の隣の席に座ったのだ。
「男性の表情が一気に変わりましたね」
それまで苛立ちを見せていた男性は、穏やかな表情になり美女と話し始めた。車内の空気も、次第に落ち着いていったようだ。
一方で、前の若者は眠りに入り、緊張状態は自然と解消されたという。
「さっきまでの空気が嘘みたいで、拍子抜けしました。そして、2人の関係が気になってしまって......。年齢差や雰囲気から、関係を想像してしまいました」
新幹線の車内では、音や座席の使い方など、ささいな行動が周囲とのトラブルにつながることもある。お互いに配慮しながら過ごすことが求められるだろう。