国民民主党の玉木雄一郎代表が2026年5月19日の定例会見で、3月16日に起きた沖縄県・辺野古沖の転覆事故で同志社国際高校(京都府)2年の武石知華さん(17)が亡くなった事故をめぐる共産党の対応を批判した。
「大人として、人間として、社会人として、そもそもどうなんだ」
この事故では、同志社国際高校の生徒18人と乗組員を乗せた船2隻が転覆し、武石さんと船長の男性が死亡した。
武石さんの遺族は「辺野古ボート転覆事故遺族メモ」のnoteアカウントを通じ、「平和丸の船長、乗組員、ヘリ基地反対協議会その他の関係責任者達」からの接触はなかったと告白。「沖縄にいる間、知華や私たちへ対面しての直接の謝罪、面会可否の問い合わせ、託された手紙、弔電、何ひとつありませんでした」とつづっていた。
玉木氏は4月21日の会見でも、本件をめぐる対応について、「人の命を奪っておいてひとことの詫びもないっていうのは、大人として、人間として、社会人として、そもそもどうなんだ」とコメントしていた。
「もっと早く表明をすべきだった」
19日の会見では、記者から「辺野古の事故に関して、(発生から)2ヶ月経って田村智子共産党委員長が謝罪をしたが」との質問が飛んだ。共産党は、事故を起こした船を運航した「ヘリ基地反対協議会」の構成団体だ。
田村氏は17日、那覇市内での党演説会で本件に言及。「修学旅行の高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤りだった」とした上で、
「船を運航するヘリ基地反対協議会の構成団体である日本共産党として、私からも心からおわびします」
と謝罪していた。
玉木氏は「謝罪されたことは良かったと思いますが、ひとこと言うと遅いですね。もっと早く表明をすべきだったのではないかなと」と応じた。
「何か政治的意図を持って利用すべきではない」
国民民主では、伊藤孝恵参院議員が4月の参院文教科学委員会に出席。文科省による調査の進捗について、同校および運営の法人に参考人招致を要請するも、保護者対応などを理由に実現していない現状を明かしていた。
玉木氏は「我が党の伊藤孝恵が国会でも取り上げたが、遺族の皆さんがいろんな思いを抱えながら、noteで発信をされておられる」とし、「私も気をつけて発信しているが、右にしても左にしても『政治的に利用されたくない』というのが(遺族の意向だ)」と主張。
「亡くなられた1人の娘さんの思いを正確に世の中に伝えたい、残したいという思いなので、基地の反対・賛成どちらも、何か政治的意図を持って利用すべきではないと思う」とした。
「ただ起こったことに対して責任のある者については、個人であれ組織であれ、きちんと哀悼の意と、謝罪すべき点があればその意を示すことが、誠実な組織や大人、人間としての対応ではないか」とした。
故人の思いを勝手に代弁「一番避けなければいけない」
さらに、「最近某大学教授がですね、『娘さんも基地に反対だったんだ』というようなそういう思いを何か喋られたように聞いている」ともした玉木氏。
具体的な言及は避けた玉木氏だが、17日に那覇市内で開かれた「抗議船転覆事故乗り越え、辺野古新基地建設阻止を強化しよう」と題された学習会で、元同志社大学大学院教授の浅野健一氏がこの問題に言及。集会内の浅野氏の発言について、産経新聞が「『娘の意思、代弁すべきでないのでは』 元同志社大教授が辺野古事故遺族の投稿を疑問視」の見出しで報じていた。
玉木氏の発言は浅野氏を念頭に置いた可能性がある。
この問題をめぐっては、沖縄タイムスが5月1日付紙面に掲載した読者投稿の
「天国から二人の声が聞こえてくる。『誹謗中傷にめげず、抗議行動を続けてほしい』と」
という部分が、犠牲者の声を勝手に代弁したとして批判が相次いだ。これを受けて沖縄タイムスは5月3日、この部分を「投稿者の同意を得て削除します」とする「おわび」を掲載。経緯について
「亡くなった方々の意思を断定する不適切な表現になっており、本紙の編集過程の確認作業が不十分でした」
と説明していた。
浅野氏は5月18日のフェイスブックの投稿で、この経緯を「学習会」で取り上げたことを紹介。削除された投稿は「まっとうな指摘」で、沖縄タイムスの対応を「一線を越えた『お詫びと削除』」だと主張していた。
玉木氏は「亡くなった方の思いを勝手に代弁して発信するようなことは、遺族としてたまらない気持ちだと思う」と遺族をおもんぱかった。
その上で、「ましてやもう意思を発信することができない人の思いを勝手に代弁して言うことこそ、一番避けなければいけない。やってはいけない政治利用だと思う」と語った。