2026年5月20日の党首討論は、「細切れ野党」の危うい実態を改めて浮かび上がらせる結果になった。中道改革連合のほかに合併しなかった立憲民主、公明の3党代表が10分から5分の短い質疑を重ねたが、20日夜の「報道1930」(BS-TBS)では、「今日の内容であれば、予算委員会で十分。党首討論は国家の基本問題を議論し、国家の進路を語り合う場です」(佐藤千矢子・毎日新聞専門編集委員)とこきおろされた。合併もせず元にも戻らない「中道」の行方はなおはっきりせず、「高市一強」の国会運営が続く。伊藤惇夫氏「本当の野党は衆院に52人しかいない」過去最大の6野党が参加した45分間の党首討論は、「中道」が10分、立憲民主党が9分、公明党が5分と3人の代表が細切れに討論した。小川淳也・中道代表は経済対策の遅れを指摘、水岡俊一・立憲代表は日米同盟を、竹谷とし子・公明代表はイラン情勢と国民生活を中心にそれぞれ討論したが、いずれも迫力不足。共産党は「衆参いずれかで10議席以上」という参加条件にも届かなかった。週刊誌やネットで議論となっている高市首相の「中傷動画疑惑」は、だれも取り上げなかった。「本当の意味での野党は衆院に52人しかいません。中道48人と共産党4人です」と政治アナリストの伊藤惇夫さん(元自民党・旧民主党幹部職員)は言う。「国民民主党や参政党など、あとの野党は、高市首相が言う『国論を二分する政策』には積極的です」(「報道ライブインサイドOUT」BS11)。改定中の安保三文書で「新しい戦い方とか継戦能力などの言葉が何回も出てくる。今後、戦争が起きることが当たり前のような物言いが目立つ」と指摘した。「数年前に話題になった、タモリさんの『新しい戦前』を思い出した」と、「高市一強」下の与野党関係に警鐘を鳴らした。朝日社説「立て直しの道のりは厳しい」なかでも、中道改革連合の行方を心配する声は小さくない。同党は衆院選の惨敗の分析や党再建への取り組みをまとめた「総括」を5月12日に公表した。立憲と公明の支持基盤を合わせれば一定の議席がとれるとした計算は誤りだったとし、これまで立憲に投票してきた無党派層が離反したと分析した。しかし、2027年春の統一地方選は現状の「中道、立憲、公明」の3党で臨むが、その翌年、2028年の春には参院選が迫り、ダブル選の可能性もある。「合流」問題をいつまで先延ばしするのか。5月13日の朝日新聞社説は「党立て直しの道のりは厳しい」と暗い見通しを書いている。中北浩爾氏「参議院の立憲・公明合流は秋の臨時国会前には決めた方がいい」2027年春の統一選について3党が分かれたまま臨む方針について、伊藤氏は「(公明党とは)一緒にならない方がいい」という見方を話した。伊藤氏自身、自民を離党した小沢一郎氏らが公明党などと合流した「新進党」総務局で過ごした経験があり、「自民と公明が25年間、うまく付き合えたのは『連立』だったから。『合併』はしていない。公明系の方は、最後まで『融和』しない。忠誠を誓うのは別のところにある」と断言した。立憲民主党系中道の若手落選者10人余りが3月に、「ポラリス」(北極星)という名の研究会を立ち上げ、オンラインのイベントなどで、発信を始めた。5月20日夜には、「ポラリス」の中心メンバー、当選2回の松尾明宏・前衆院議員(51)がユーチューブ番組で中北浩爾・中大教授と討論したが、中北氏は「参議院では、立憲・公明は合流できるのではないか。まだ、問題は多いが、秋の臨時国会前には決めた方がいい」などと話した。伊藤氏の見方とは違う。(ジャーナリスト菅沼栄一郎)
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