思うように稼げないから!? 夜職のキラキラなんて一握り
キャストデビュー直後は至って普通だったのに、歓楽街の甘さに慣れ切って徐々に性格も価値観も変わってしまうなんて人も実は多い。
まぁ働くうちに人間性に変化が起きるのはよくあることだが、倫理観が捻じ曲がると盗みやイジメ、他者の蹴落としなどに走りやすい。常識を逸脱したナイトワーカーを見るうちに感覚がマヒし、「まぁこのくらいいいでしょ、どうせバレない」というナメた考えへ陥った結果が窃盗だ。
こういう後天的に手癖が悪くなったタイプは、ある意味、自身がナイトワーカーなのに夜職そのものを見下す行為ともいってもいいかもしれない。途中から考えが悪い方向に変わると軌道修正が難しく、簡単な言葉でいうところの「性格が悪い人」になってしまうためだいたい予後は悪い。
収入が少なくて好き勝手に買い物ができないから、盗みを働くケースもある。努力をすれば収入は青天井の商売なのだから「じゃあ仕事を頑張ればいいじゃない」という話で完結するのに......。
それでも、「自分には手が届かないから」と洋服やブランドバッグ、腕時計、アクセサリーをロッカールームや先輩の家からかっさらっていく例は決して少なくない。特にホストクラブの寮ではアクセサリー盗難事件などしょっちゅうで、思うように稼げないのを理由にして仲間を裏切ってしまうのだ。
だが、本人の頑張りが足りないのは大前提として、やはりそう簡単に稼げないのも事実である。たとえ高時給を提示されても利益が出せなければ速攻クビor干される対象になり、給料1000万円など夢のまた夢。憧れのブランドバッグが手に入ると思って歓楽街へ飛び込んだのに、現実は厳しい。夢と理想のギャップに打ちひしがれて、でも事実を受け入れられず窃盗へ走る地獄絵図も本当に存在する。
SNSで目にする輝きなんて、ピラミッドの頂点のみが見える風景だ。お金が稼げるという期待から現実に直面し、踏ん張れる層はそこまで多くない。だいたいが夢に破れて街を去るか、間違った根性を出して常識外の行動を取るかなので、理想を掲げ過ぎた「キラキラ」は時に人間を変えてしまう。
手癖が悪い子にも、いろいろ事情はあるだろう。しかし、どんなに生活が苦しくても、他人には分からない大きな夢を持っていても、ダメなものはダメなのだ。夜の世界はハッキリと注意してくれるオトナが少ないせいで、倫理観が一度でも欠ければジ・エンドに近づいてしまう。
歓楽街に足を踏み入れるのは「人間としてのズレ」と戦う覚悟も必要なので、どうか若い人々には表向きの輝きだけに釣られないでほしいと願う。
【プロフィール】
たかなし亜妖/2016年にセクシー女優デビュー、2018年半ばに引退しゲーム会社に転職。シナリオライターとして文章のイロハを学び、のちにフリーライターとして独立する。現在は業界の裏側や夜職の実態、漫画レビューなど幅広いジャンルのコラムを執筆中。