「ナフサは足りている」「目詰まりが問題」と政府は言うが 代替調達で量を確保だけでは済まない困った事情

ガソリンのブレンドのために優先的にナフサが回されている

   さらに、事態を複雑にしている問題がある。

   ナフサを分解して得られる成分のなかには、塗料やインク、シンナー、接着剤などの重要な原料となるトルエン、キシレンといった基礎化学品がある。

   いま、これらの物質が化学メーカーに渡る前に、別の目的のために引き抜かれているのだ。

   それはガソリンのブレンドである。

   トルエン、キシレンなどの成分は、ガソリンのオクタン価(エンジンの異常燃焼を防ぐ指標)を高める添加剤として用いられている。

   イラン情勢の影響で代替原油が導入され、製油所全体の生産バランスが崩れているなか、品質の高いガソリンを安定的に市場に供給するために、トルエン、キシレンなどが優先的に回されているのだ。

   現在、政府はガソリンなどの燃料油に対して多額の補助金を投入し、価格をコントロールしている。

   そのため、製油所にとっては需要が安定しているガソリン生産を優先する経済的な動機が働くことは十分考えられる。

   結果として、代替原料への対応が必要なナフサ分解設備については、生産効率の低下や稼働調整が生じている可能性も否定できない。

   第一ライフ資産運用経済研究所の熊野英生・主席エコノミストは、6月1日付の報告書で、

「ガソリンなどの燃料に回っている原油をもっとナフサに回した方がよい」
「日本では、特にガソリンの使用量を抑えることもせず、ガソリン消費をそのまま促進するような価格維持政策をしており、そこにはちぐはぐ感がある」

などと指摘している。

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